EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

ネオ・バロック様式

baroque revival
年代
1880 — 1914
地域
ヨーロッパ(フランス・中欧を中心に)
時代
新古典・歴史主義

ネオ・バロック建築(バロック・リヴァイヴァル)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、17–18世紀のバロック建築の造形を意識的に復興した歴史主義の一様式である。「様式を選ぶ」時代の選択肢の一つとして、新古典主義やネオ・ルネサンス、ゴシック・リヴァイヴァルと並んで流行した。

台頭の舞台となったのは、富と国家的威信を可視化する公共建築の領域である。第二帝政期のフランスやオーストリア=ハンガリー、ドイツ、イギリスなどで、劇場・歌劇場・市庁舎・宮殿・銀行といった、華やかさと権威を求められる建物に好んで用いられた。

形態の特徴は、本来のバロックから受け継いだ動的で豊かな表現にある。波打つように前後するファサード、対になった円柱や半円柱、量感のある破風とカルトゥーシュ、彫像で埋め尽くされた壁面、そして中央を強調する大きなドームやマンサード屋根。内部では大階段とホワイエが劇的に演出され、金箔・大理石・天井画が惜しみなく投入された。19世紀の鉄骨や新しい建設技術がこれを支え、しばしば本家を上回る規模で実現された。

代表例として広く挙げられるのが、パリのオペラ・ガルニエ(シャルル・ガルニエ設計)である。第二帝政期の華麗な折衷様式を体現するこの歌劇場は、ネオ・バロック的な壮麗さの典型とされる。中欧では、フェルナー&ヘルマーが各都市に建てた歌劇場・市民劇場の系列がこの様式を広め、ザグレブのクロアチア国立劇場もそのひとつである。

新古典主義が古代の理性と静謐を志向したのに対し、ネオ・バロックは絶対王政期の壮麗と劇性を志向した。両者は同じ歴史主義の内部で対をなし、やがて世紀末のアール・ヌーヴォーやモダニズムによる「装飾の否定」へと乗り越えられていく。

ネオ・バロック様式
§1

代表建築

Buildings
古典主義 ペテルゴフ宮殿
1756 · ペテルゴフ
ペテルゴフ宮殿
Francesco Bartolomeo Rastrelli

サンクトペテルブルク近郊、フィンランド湾に臨む宮殿・庭園群。ピョートル大帝が…

§2

様式の系譜

Lineage
親様式
バロック建築
本様式
ネオ・バロック様式
隣接する様式