ネオ・バロック建築
ネオ・バロック建築(バロック・リヴァイヴァル)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、17世紀から18世紀のバロック建築の豊麗な造形を意図的に復興した歴史主義の一様式である。様式の選択そのものが建築家の主題となった歴史主義の時代にあって、古典の厳格さを掲げる新古典主義に対し、バロックは権威・祝祭・豊穣を語る言語として好まれ、劇場・歌劇場・官庁・博物館・宮殿風邸宅など、威信を必要とする公共建築に広く採用された。
形態的には、対をなす円柱やピラスター、量塊的に突出するファサード、湾曲するペディメント(破風)と渦巻装飾、ドームや高いマンサード屋根、彫刻群で飾られた妻壁などを特徴とする。本来のバロックがもっていた空間の運動性よりも、外観の重厚さと装飾の豊かさが前面に出ることが多い。フランス第二帝政期のボザール建築、ウィーンやドレスデンの劇場建築、ドイツ・ヴィルヘルム期の記念碑的な公共建築などが代表例で、フランクフルトのゼンケンベルク自然博物館(ルートヴィヒ・ネーアー、1904–1907年)もその一つに数えられる。
源流であるバロック建築を直接の親としつつ、同時代の新古典主義やネオ・ルネサンス、ネオ・ゴシックと選択肢を競い合い、しばしば一棟のなかで折衷された。装飾を国家や市民社会の威信の表現とみなすその姿勢は、やがて20世紀の近代運動が「様式の衣装」として斥けることになる、歴史主義建築の爛熟を象徴している。