バロック建築
baroque architecture年代
1600 — 1750
地域
イタリア(ヨーロッパ全域に展開)
時代
バロック・ロココ
バロック建築(baroque architecture)は、16世紀末から18世紀半ばにかけてヨーロッパで展開した、劇的で装飾性の強い建築様式である。語源はポルトガル語の「barroco(ゆがんだ真珠)」とされる。ローマに生まれ、はじめはカトリック教会が、宗教改革に対抗して信者の心を動かすための「見せる」建築として用いた。やがて絶対王政の宮廷にも広がり、教会と国家、双方の権威を誇示する様式となった。
17世紀初頭のローマに始まり、最盛期(盛期バロック、おおむね1625〜1675年)を経て、1675年以降の後期バロックには、フランス・スペイン・中欧から東欧・ロシア、さらに新大陸の植民地へと伝播した。地域ごとに独自の展開を見せ、フランスではより端正で古典主義的な性格を帯びた。
形態的には、ルネサンスが重んじた静的な均衡を離れ、運動感と劇性を追い求める。楕円を基調とする複雑な平面、凹凸にうねる壁面、光と影の強い対比、豊かな曲線と彫塑的な装飾、金箔や色大理石、錯視的な天井画などが特徴である。建築・彫刻・絵画は一体に統合され、空間全体が一つの劇場のように構成された。
代表建築には、ベルニーニによるサン・ピエトロ広場の列柱廊、ボッロミーニのサン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ聖堂、フランスのヴェルサイユ宮殿などがある。東方ではラストレッリのロシア・バロックがこれに連なり、イェルガヴァ宮殿もその一例である。
様式史のうえでは、ルネサンス・マニエリスムに続いて現れ、1730年ごろにはより繊細で優美なロココへと展開した。やがて理性と簡潔を旨とする新古典主義に取って代わられるが、その壮大さと感情に訴える力は、後世の建築にも長く影響を残した。
§1
代表建築
Buildings§2