サン・ピエトロ大聖堂 St. Peter's Basilica
ヴァチカンに建つカトリックの中心聖堂。使徒ペテロの墓所の上に16〜17世紀に再建された、ルネサンスからバロックにかけての記念碑的大聖堂で、ブラマンテやミケランジェロが構想し、ベルニーニが広場を整えた。世界最大級の教会堂である。
§1 — 概要概要
ヴァチカンに建つ、カトリック教会の中心となる大聖堂である。イエスの使徒ペテロの墓所とされる場所の上に建てられ、ローマ・カトリックの総本山として、また教皇の典礼の場として、世界中の信徒の信仰を集めてきた。盛期ルネサンスからバロックへと至る一世紀あまりの歳月をかけて再建され、その規模・装飾ともに、キリスト教建築の到達点のひとつに数えられる。
歴史
現在の聖堂は、4世紀にコンスタンティヌス帝が使徒ペテロの墓の上に築いた旧聖堂を、全面的に建て替えたものである。老朽化した旧聖堂の再建は教皇ニコラウス5世のもとでベルナルド・ロッセリーノにより試みられたが本格化せず、1506年、教皇ユリウス2世がドナト・ブラマンテの設計のもとに起工して、ようやく大事業が始まった。
その後、工事は一世紀以上にわたり、ラファエロ、ペルッツィ、小アントニオ・ダ・サンガッロら名だたる建築家が次々に主任を引き継いだ。平面は集中式(ギリシア十字)と縦長式(ラテン十字)のあいだで揺れたが、1547年に就いたミケランジェロが諸案を整理し、巨大なドームを構想する。ドームはジャコモ・デッラ・ポルタらの手で1590年に完成した。さらにカルロ・マデルノが身廊を東へ延ばしてラテン十字とし、堂々たるファサードを1610年代に築き上げ、1626年に聖堂は献堂された。
建築的特徴
聖堂を象徴するのは、ミケランジェロが構想した直径約42メートル、高さ約136メートルの大ドームである。古代のパンテオンと、初期ルネサンスのフィレンツェ大聖堂のドームを範としつつ、それを上回る規模で、ローマの空に堂々たる輪郭を描く。
内部は驚くべき広大さをもち、主祭壇の上には、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによる高さ約29メートルの青銅の天蓋(バルダッキーノ)がそびえる。そして聖堂の前面には、同じくベルニーニが設計した楕円の列柱廊が大きく腕を広げ、サン・ピエトロ広場を抱きとめる。訪れる者を包みこむこの空間は、バロックの劇的な演出の極致とされる。
意義・現在
サン・ピエトロ大聖堂は、ルネサンスからバロックへと移りゆく時代の最良の才能が、一世紀をかけて結晶させた総合芸術である。建築のみならず、内部を飾る彫刻・絵画・モザイクは、各時代の頂点をなす。今日もカトリック世界の中心として、教皇のミサや祝祭に多くの巡礼者を集め、ヴァチカン市国の世界遺産の核として、訪れる者を圧倒し続けている。
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