EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

ロココ

Rococo
年代
1700 — 1780
地域
フランス・ドイツ・中欧
時代
バロック・ロココ

ロココ(Rococo)は、18世紀前半のフランスに生まれ、重厚なバロックに続いて広まった、軽やかで装飾的な様式である。語源は岩や貝殻を模した装飾「ロカイユ(rocaille)」にあり、当初はルイ15世期のサロンや邸宅の室内装飾——羽目板(ボワズリ)や鏡、漆喰細工——として展開した。パリのオテル・ド・スービーズの内装を手がけたジェルマン・ボフランらが、その優美な室内を代表する。やがて様式は南ドイツやオーストリア、中欧の宮殿・教会へと伝わり、とりわけバイエルンの教会建築で華麗な頂点を迎えた。形態の特徴は、貝殻や植物をかたどった非対称の曲線装飾、白と金やパステルの色調、光を反射する鏡とスタッコ(化粧漆喰)による軽やかな空間にある。建築の構造そのものより、内部を満たす優美な装いに重きが置かれた点で、外観の劇性を競ったバロックとは方向を異にする。代表作には、フランソワ・ド・キュヴィリエによるミュンヘンのアマリエンブルク、バルタザール・ノイマンのフィアツェーンハイリゲン巡礼教会、ドミニクス・ツィンマーマンのヴィース教会などがあり、プロイセンではポツダムのサンスーシ宮殿が「フリードリヒ式ロココ」と呼ばれる。本データベースでは、ニコラ・ド・ピガージュによるシュヴェツィンゲン城の宮廷劇場と庭園が、ロココの宮廷文化を伝える作例である。バロックの荘重さをやわらげて室内へと転じたこの様式は、やがてその過剰な装飾への反動を招き、簡素と秩序を求める新古典主義の台頭へとつながっていった。

ロココ
§1

代表建築

Buildings
ロココ シェーンブルン宮殿
1713 · ウィーン
シェーンブルン宮殿
Nicolò Pacassi

ウィーン南西部、ハプスブルク家の夏の離宮。1683年のオスマン軍による破壊ののち…

ロココ ドルマバフチェ宮殿
1856 · イスタンブール
ドルマバフチェ宮殿
Garabet Amira Balyan

イスタンブール、ボスポラス海峡に臨むオスマン帝国の宮殿。1856年に完成し、バリ…

ロココ アマリエンボー宮殿
1760 · コペンハーゲン
アマリエンボー宮殿
Nicolai Eigtved

コペンハーゲンに建つデンマーク王室の冬の居城。八角形の広場を囲んで同形のロコ…

ロココ エッゲンベルク城
1636 · グラーツ
エッゲンベルク城
Giovanni Pietro de Pomis

オーストリア・グラーツの西郊に建つ、シュタイアーマルク州を代表するバロックの…

ロココ フレデリクス教会
1894 · コペンハーゲン市
フレデリクス教会
Ferdinand Meldahl

コペンハーゲンのフレデリクススタデンの中心に立つルター派教会。アイクトヴィズ…

ロココ シュヴェツィンゲン城
1754 · シュヴェツィンゲン
シュヴェツィンゲン城
Johann Adam Breunig

ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州、プファルツ選帝侯の夏の離宮。1700年前後…

ロココ アザム教会
1746 · ミュンヘン
アザム教会
Asam brothers

ミュンヘン旧市街に建つ後期バロックの教会堂。彫刻家エギト・クヴィリンと画家コ…

ロココ オラニエンバウム
1727 · ロモノソフ
オラニエンバウム
Antonio Rinaldi

サンクトペテルブルク近郊、フィンランド湾に臨むロシア皇室ゆかりの離宮群。ピョ…

ロココ ヴィースの巡礼教会
1754 · シュタインガーデン
ヴィースの巡礼教会
Dominikus Zimmermann

ドイツ、バイエルン高地の牧草地に立つ巡礼教会。1745年にドミニクス・ツィンマー…

§2

様式の系譜

Lineage
隣接する様式