ストゥピニージ狩猟宮殿 Palazzina di caccia of Stupinigi
トリノ近郊ニケリーノに建つ、サヴォイア家の壮麗な狩猟宮殿。建築家フィリッポ・ユヴァラが1729年に起工し、十字に翼を広げた独特の平面と楕円形の大広間をもつ後期バロックの傑作である。世界遺産「サヴォイア王家の王宮群」の構成資産。
§1 — 概要概要
ストゥピニージ狩猟宮殿(Palazzina di caccia di Stupinigi)は、イタリア北部、トリノ南西のニケリーノにあるサヴォイア家の狩猟用宮殿である。サルデーニャ王ヴィットーリオ・アメデーオ2世の狩猟の館として、建築家フィリッポ・ユヴァラの設計で建てられた。十字(聖アンデレ十字)状に翼を広げた大胆な平面と、楕円形の大広間を中心とする構成で知られる、後期バロック建築の代表作である。
歴史
建設は1729年に始まり、わずか二年後の1731年には最初の公式の狩猟が催されるまで工事が進んだ。中心となる建物はおおむね1733年までに姿を整えたが、その後も歴代の君主のもとで増築が続けられた。ユヴァラの助手プルノットをはじめ、ベネデット・アルフィエーリら北イタリアの建築家たちが翼棟や庭園を拡張し、最終的に137の部屋と17のギャラリーを擁する規模に達した。装飾には、ヴェネツィアから招かれた職人を含む多くの装飾家が動員された。
建築的特徴
平面の中心には吹き抜けの楕円形大広間が据えられ、そこから四つの翼が斜めに張り出す。この求心的な構成は、狩猟という主題と王家の威信を空間化したものである。屋根の頂には狩りの獲物である青銅の牡鹿が据えられ、屋根の縁を飾る壺には猟犬の頭部があしらわれる。内部はロカイユを多用した華麗なロココ装飾で覆われ、フレスコ画と相まって祝祭的な空間をつくり出している。サヴォイア家は王朝の婚礼や祝典の舞台としてこの館を好んで用いた。
意義・現在
ストゥピニージ狩猟宮殿は、ユヴァラの構想力と18世紀ピエモンテの宮廷文化が結晶した建築であり、1997年に世界遺産「サヴォイア王家の王宮群」の構成資産として登録された。現在は美術館として公開され、サヴォイア家ゆかりの調度や美術品を伝えている。狩猟という一見限定された目的のために、これほど壮麗で構築的な空間が生み出された点に、バロック宮廷建築の到達点を見ることができる。
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