サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂 Cathedral of Santiago de Compostela
聖ヤコブの墓所と伝わる、カミーノ巡礼の終着点となる大聖堂。ロマネスクの「栄光の門」とバロックのオブラドイロ正面で知られる、スペイン・ロマネスクの最高傑作である。
§1 — 概要概要
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂(Catedral de Santiago de Compostela)は、スペイン北西部ガリシア州の都市サンティアゴに建つ大聖堂である。使徒聖ヤコブ(サンティアゴ)の墓所と伝えられ、中世以来「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(カミーノ)」の終着点として、ローマ・エルサレムと並ぶキリスト教三大巡礼地の一つに数えられてきた。スペイン・ロマネスクの最高傑作とされる。
歴史
9世紀、聖ヤコブの墓と伝わる場所に小さな聖堂が建てられたのが起源である。その後の聖堂は997年にアル・マンスールの軍に破壊され、現在のロマネスク大聖堂は1075年、アルフォンソ6世の治世下、司教ディエゴ・ペラエスの後援で着工された。フランスのサン・セルナン聖堂などと同じ巡礼教会の系譜に連なる花崗岩造の大建築で、工事は中断を挟みながら一世紀以上続き、1211年にアルフォンソ9世の臨席のもとで奉献された。西側正面のティンパヌムを飾る「栄光の門(ポルティコ・デ・ラ・グロリア)」は、マエストロ・マテオが1168年から手がけ1188年に完成した、ロマネスク彫刻の頂点である。18世紀には、風雨から栄光の門を守るため、その外側にフェルナンド・デ・カサス・イ・ノボアの設計によるバロックの「オブラドイロ正面」(1738〜1750年)が重ねられた。
建築的特徴
平面はラテン十字形で、身廊と側廊からなる三廊式、内陣をめぐる周歩廊と放射状の小礼拝堂を備える。これは多くの巡礼者を堂内に受け入れ、聖遺物の周囲を巡らせるための、巡礼教会に典型的な構成である。身廊は樽型ヴォールトで覆われ、その高い位置を周歩廊上のトリビューン(階上廊)が支える。栄光の門は、中央扉口に聖ヤコブを据え、200体を超える人物像で最後の審判と栄光を表す。一方、オブラドイロ正面は、高さ約75メートルの二基の塔に挟まれ、大きなガラス窓を中央に開く、スペイン・バロックを代表する華麗な舞台装置である。ロマネスクの構造体の上に、六世紀近い時を隔てたバロックの衣がまとわされている。
意義・現在
大聖堂は、スペイン・ロマネスク建築と彫刻の到達点であると同時に、ゴシック・ルネサンス・バロックの各時代の手が累々と加えられた、生きた建築史でもある。1985年には、これを核とする「サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街」が世界遺産に登録された。今日も年間数十万人の巡礼者が大陸を横断してこの正面の前に立ち、カミーノの長い道のりを終えている。