ブリュッセル王宮 Royal Palace of Brussels
ベルギー・ブリュッセルの中心に建つ、ベルギー国王の公式宮殿。18世紀末の館を起点に、レオポルド2世期のアルフォンス・バラ、20世紀初頭のアンリ・マケらが拡張・整備した。国王の居所ではなく、公務と式典の場である。
§1 — 概要概要
ブリュッセル王宮(Palais royal de Bruxelles / Koninklijk Paleis van Brussel)は、ベルギーの首都ブリュッセルの中心に建つ、ベルギー国王の公式の宮殿である。ブリュッセル公園に面し、向かいには連邦議会の入る国民宮殿が建つ。ただしここは国王一家の住まいではなく、王族はラーケン王宮で暮らし、当宮殿はもっぱら公務や国家の式典、賓客の接見に用いられる。
歴史
宮殿が建つ丘には、かつて中世以来のクーデンベルク宮殿があったが、1731年の火災で焼失した。半世紀後、その跡地には数棟の館が建ち、19世紀前半、オランダ国王ウィレム2世のもとでティルマン・フランソワ・スイスらがこれらを新古典主義の列柱廊でつなぎ、宮殿へと整えた。ベルギー独立後、初代国王レオポルド1世は宮殿を公務専用とし、住まいはラーケンに置いた。宮殿を大きく変えたのは2代レオポルド2世で、その治世に面積はほぼ倍増した。建築家アルフォンス・バラが大階段・玉座の間・大ギャラリーなどの壮麗な広間を設け、新しいファサードも構想したが、実現を見ずに没した。現在見られる長大な正面は、1904年以降にアンリ・マケの新設計で建てられたものである。レオポルド2世とマケの死後は、マケの弟子オクターヴ・フラノーが工事を引き継ぎ、第一次世界大戦をはさんで1930年代まで整備が続いた。
建築的特徴
正面は左右対称の新古典主義で、中央に列柱のペリスタイルとペディメントを備える。破風の彫刻は、ベルギーを擬人化した像を産業と農業の群像が囲む構図で、彫刻家トマ・ヴァンソットの作。正面はロンドンのバッキンガム宮殿より五割長いとも言われる。内部はアンピール様式やルイ16世様式の広間が連なり、なかでも玉座の間にはオーギュスト・ロダンの浮彫が据えられている。レオポルド2世がコンゴ植民地にちなんで構想した「鏡の間」では、2002年に芸術家ヤン・ファーブルが約160万枚の玉虫の翅で天井を覆う作品《天上の悦楽》を制作したことで知られる。
意義・現在
ブリュッセル王宮は、新古典主義からボザール、ネオ・バロックにわたる19〜20世紀の宮廷建築を一棟に伝える。レオポルド2世期の拡張はコンゴ植民地経営によってもたらされた富を背景としており、その歴史的評価をめぐっては今日さまざまな議論がある。宮殿は王の在所ではないものの国家機能の中枢であり、毎年夏の数週間、一般に公開される。