ラーケン宮殿 Royal Castle of Laeken
ブリュッセル北郊ラーケンに建つ、ベルギー国王一家の公邸。1782〜84年にハプスブルク家ネーデルラント総督の邸宅として新古典主義で築かれ、1890年の火災後に再建・拡張されて現在の姿になった。
§1 — 概要概要
ラーケン宮殿(Royal Castle of Laeken/仏 Château de Laeken)は、ベルギーの首都ブリュッセル北郊のラーケン地区に建つ宮殿である。ベルギー国王とその家族が暮らす公邸であり、市中心部にあって国事に用いられるブリュッセル王宮とは別の建物にあたる。広大な私的庭園「ラーケン王領地」の中心に位置し、中央に列柱玄関を構える左右対称の新古典主義建築である。
歴史
宮殿の起こりは18世紀末にさかのぼる。1782年から1784年にかけて、当時南ネーデルラントを統治していたハプスブルク家の総督のために建てられ、当初は「ション邸(シェーネベルク)」と呼ばれた。設計はフランスの建築家シャルル・ド・ワイイと、南ネーデルラント出身のルイ・モントワイエが担い、装飾彫刻はジル=ランベール・ゴドシャルルが手がけた。1830年のベルギー独立後は新生王国の王宮の一つとなる。1890年、宮殿は火災で大きく損なわれ、以後レオポルド2世の治世下で大規模な再建と拡張が進められた。19世紀後半にはアルフォンス・バラが関わり、20世紀初頭にはフランスの建築家シャルル・ジローが記念碑的な翼棟を加えて、現在見られる威容が整えられた。
建築的特徴
建物は古典的な秩序にもとづく端正な構成を特徴とする。中央のポルティコと三角形のペディメントが正面を引き締め、水平に伸びる翼棟が均衡を保つ。18世紀の創建部が示した抑制された新古典主義に対し、20世紀の拡張部はより壮大で装飾的な性格をもち、両者が一体の宮殿として読めるよう調停されている。隣接する「ラーケン王立温室群」は、鉄とガラスによる別系統の建築としてバラの代表作に数えられ、宮殿本体と対をなす。
意義・現在
ラーケン宮殿は、総督邸として始まり、独立王国の公邸へと役割を変えながら、火災と再建を経て王室建築として成熟した。創建から拡張までの各段階が一つの建物に重なって読める点に、ベルギー近代の建築史が凝縮されている。現在も国王一家の私邸として使われ、内部は非公開だが、王領地の温室群は例年春の一時期に一般公開される。