ギザのピラミッドに隣接する、単一文明に捧げられた世界最大の博物館。ヘネガン・ペンの設計で2005年に着工し、ツタンカーメンの全副葬品を含む十万点超を収め、2025年に正式開館した。
§1 — 概要概要
大エジプト博物館(المتحف المصري الكبير、Grand Egyptian Museum、略称GEM)は、エジプト・ギザのピラミッド群から約2キロの地に立つ国立の考古学博物館である。古代エジプト文明に特化した博物館としては世界最大で、敷地は約50万平方メートルに及ぶ。十万点を超える収蔵品のうちには、はじめて一堂に集められたツタンカーメンの副葬品約5,400点が含まれる。
歴史
構想は1990年代に始まり、2002年に大規模な国際設計競技が催された。世界82か国から1,557案が寄せられたこのコンペで、当時わずか数名の事務所であったアイルランドのヘネガン・ペンが選ばれた。2005年に本体工事が始まったが、政情の変化や資金難、新型コロナの流行などで完成は再三延期された。建物は2023年に竣工し、2024年の試験公開を経て、2025年11月1日に正式に開館した。施工はエジプトのオラスコムとベルギーのBESIXによる共同企業体が担った。
建築的特徴
建物は、ギザの三大ピラミッドへ向かう視軸に沿って構成される。砂漠に面する外壁には、現地産の半透明のアラバスター(雪花石膏)が用いられ、光を和らげながら内部へ導く。六層分の高さをもつ大アトリウムにはラムセス2世の巨像が据えられ、そこから伸びる大階段は、全面ガラスの壁ごしにピラミッドを望む。建物の量塊は砂漠の地形に沿って低く抑えられ、地平線上のピラミッドを引き立てるよう配慮されている。
意義・現在
GEMは、長く各地に分散し、また国外を巡回してきたエジプトの至宝を、ピラミッドの間近に集約する国家的事業として実現した。設計には、構造物を風景や地形に溶け込ませるヘネガン・ペンの手法がうかがえる。2025年の開館は国を挙げて祝われ、観光と研究の新たな拠点として、エジプト学の一時代を画すものと位置づけられている。
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