ストラホフ・スタジアム Great Strahov Stadium
プラハのペトシーン丘に立つ、最大収容人員25万人を擁した史上最大級のスタジアム。建築家アロイス・ドリャークの設計により1926年に木造で建設され、ソコル体操祭の大集団演技の舞台として鉄筋コンクリートへ拡張された。
§1 — 概要概要
ストラホフ・スタジアム(Great Strahov Stadium/チェコ語 Velký strahovský stadion)は、チェコの首都プラハ、旧市街を見下ろすペトシーン丘の一角に広がる巨大競技場である。観客収容人員は最大で約25万人(座席は約5万6千席)に達し、サッカーの標準ピッチの縦横およそ三倍という競技面をもつ。これは現存・過去を通じて世界最大の競技場であり、スポーツ施設全体としても史上二番目の規模とされる。一般的な観戦競技ではなく、何万人もが一斉に行う集団体操の演技を見せるために構想された点に、この施設の特異な性格がよく表れている。
歴史
第一共和国期のチェコスロヴァキアにおいて、体育運動団体ソコルが主催する大規模な体操祭「スレット(全ソコル大会)」の会場として計画された。建築家アロイス・ドリャークの設計に基づき、1926年に第8回全ソコル大会のため木造の最初のスタジアムが建設される。1932年の第9回大会に向けて鉄筋コンクリート造の観客席へと造り替えられ、その後も1948年・1975年と増築が重ねられた。共産主義体制下ではソコルの演技は「スパルタキアーダ」と改称され、当地が国家的マスゲームの中心舞台となった。一方で第二次世界大戦中には、ナチス占領下でユダヤ人の集合場所として用いられた暗い歴史も刻まれている。
建築的特徴
意匠的な装飾を排し、機能に徹した鉄筋コンクリートの巨大構築物である。四周を観客席が取り囲み、その中央に約6万3千平方メートルという広大な演技フィールドが広がる。様式としての洗練よりも、群衆を収容し集団演技を可視化するという目的が形態を決定づけており、機能主義の時代精神を土木的なスケールで体現している。丘の上に長大な壁体として連なる外観は、近接する歴史的市街とは対照的な、二十世紀の量塊として景観に介入する。
意義・現在
ストラホフは、身体の規律と国民的統合を可視化する装置として、二十世紀中欧の政治と身体文化の関係を映し出す記念碑的な存在である。2019年以降は公式競技には用いられず、現在はサッカークラブのスパルタ・プラハの練習拠点として、複数の競技場を備える施設に転用されている。チェコの文化財に指定されており、その圧倒的な規模と、体操祭という独特の用途の記憶は、今日もプラハの丘の上に残されている。