トルコ初の近現代美術館。2004年にカラキョイの倉庫を改装して開館し、2023年にはレンゾ・ピアノ設計の新館が同じ岸辺に完成した。ボスポラスの水面を映すアルミの外壁で知られる。
§1 — 概要概要
イスタンブル現代美術館(İstanbul Modern)は、トルコ初の近現代美術専門の美術館である。ヨーロッパ側カラキョイの、ボスポラス海峡と金角湾が出会う歴史ある波止場に建つ。2004年に港湾倉庫を改装して開館し、2023年にはレンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ(RPBW)が設計した新館が、同じ岸辺に完成した。
歴史
美術館は2004年、カラキョイの旧港湾倉庫(アントレポ4号)をタバンルオール・アーキテクツが改装した空間で開館し、トルコにおける近現代美術の最初の拠点となった。1945年以降の作品を中心とする所蔵品と意欲的な企画展によって、開館まもなく国際的な文化拠点として知られるようになる。波止場一帯の再開発に伴って2018年にいったんベイオール地区の仮施設へ移転し、その間に旧倉庫の跡地で新館の建設が進められた。レンゾ・ピアノにとってトルコでの最初の仕事となった新館は2023年5月4日に開館し、美術館は当初の岸辺へと帰還した。
建築的特徴
新館は、三つの直方体の量塊を積み重ねた構成をとり、海に向かって船を思わせる輪郭を見せる。外壁は立体的に成形されたアルミパネルを連ねたもので、ボスポラスの揺れる水面や魚の鱗を思わせ、時刻や天候に応じて表情を変える。地上階は透明なガラスで開かれ、内部から海辺の遊歩道へと視線が抜ける。建物が水と光を映し込みながら街区へ開かれるさまは、ピアノが各地の美術館で追求してきた軽さと透明性の主題を、海峡都市の文脈へと翻案したものといえる。構造設計にはアラップが協働した。
意義・現在
旧倉庫の改装による開館から、レンゾ・ピアノによる新館への展開は、産業の岸辺を文化の場へと描き換える都市再生の一例である。海峡に臨む立地と所蔵品の充実によって、イスタンブル現代美術館はトルコの近現代美術を国内外に伝える中心的な存在となっている。新館の完成により、その役割はいっそう確かなものとなった。