ベルリンの大型高級百貨店。1907年開業の歴史主義建築で、ハロッズに次ぐヨーロッパ有数の規模を誇る。戦災からの再建を経て「西側のショーウィンドウ」と呼ばれた。
§1 — 概要概要
カウフハウス・デス・ヴェステンス(Kaufhaus des Westens、「西方の百貨店」の意。略称KaDeWe)は、ドイツの首都ベルリン、ヴィッテンベルク広場に面するタウエンツィーン通りに立つ大型百貨店である。六万平方メートルを超える売場をもち、ロンドンのハロッズに次ぐヨーロッパ有数の規模を誇る。1907年の開業以来、ドイツで最もよく知られた百貨店とされる。
歴史
実業家アドルフ・ヤンドルフが富裕層向けの高級百貨店を構想し、1905年に計画が始まった。建築家ヨハン・エミール・シャウトの設計により1906年から1907年にかけて建設され、1907年3月27日に開業した。第二次世界大戦末期の空襲下では、墜落した爆撃機による火災で建物が全焼し、自社の資料も失われた。戦後はフランクフルトの建築家ハンス・ゾルの指揮のもと、旧設計に倣いつつ簡略化した形で再建が進み、1950年7月3日に下層階から営業を再開、1956年に復興を完了した。冷戦下では西ベルリンの繁栄を映す「西側のショーウィンドウ」と称された。
建築的特徴
ヴィルヘルム期の記念碑的な商業建築であり、重厚な石造の外観に規則的な窓割りと簡素な古典主義的意匠を用いる。設計者シャウトは当初こうした歴史主義的な造形から出発し、本建築を機に世紀転換期の改革建築の要素を取り込んで、装飾を抑えた即物的な新古典主義へと作風を移していった。開業時は五階建てであったが、採光のよい吹き抜けの売場と多数のエレベーターを備え、近代的な商業空間として注目を集めた。戦後の再建と度重なる増改築によって外観・内部とも大きく改められ、現在は八階規模に拡張されている。
意義・現在
KaDeWeは、ヴェルトハイムやティーツといった同時代の大規模百貨店と競い合いながら、ベルリンの消費文化を象徴する施設として発展した。1920年代末に拡充された食料品売場は世界有数の規模で知られ、最上階の美食フロアは現在も名物である。戦災と分断、戦後復興という首都の歴史を映す建物でもあり、所有企業はたびたび交代しながらも、ヨーロッパを代表する百貨店としての地位を保っている。