モスクワ地下鉄フィリョフスカヤ線西端の地上駅。1965年にポグレブノイの設計で開業し、2008年にヴィグドロフの改築で乗換駅へ拡張された。簡素な1960年代地上駅の最後の例とされる。
§1 — 概要概要
クンツェフスカヤ駅(Кунцевская)は、モスクワ地下鉄フィリョフスカヤ線の西の終端に位置する地上駅である。1965年8月31日に開業し、地上駅としての設計は建築家リミダルフ・ポグレブノイによる。2008年には大規模な改築が行われ、アルバーツコ=ポクロフスカヤ線との乗換駅として拡張された。
歴史
本駅は、モスクワ西部の住宅地へ地下鉄を延ばすフィリョフスカヤ線の延伸事業のなかで、1965年に開業した。フィリョフスカヤ線は大部分が地上を走る、モスクワ地下鉄では例外的な路線で、その地上区間に設けられた規格型の駅のひとつが本駅である。設計を担ったポグレブノイは、同線の七つの地上駅すべてを手がけた。なお彼の名「リミダルフ」は、革命を信奉した両親がレーニンの名「ウラジーミル」を逆さに綴って与えたものと伝えられる。2008年1月、クンツェフスカヤ駅から西の区間がアルバーツコ=ポクロフスカヤ線へ移管されたのに伴い、本駅は建築家アレクサンドル・ヴィグドロフの設計で改築され、旧ホームに並行する新しいホームと大型の駅舎が増設された。
建築的特徴
1965年の地上駅は、当時の規格にもとづく簡素なつくりで、ルブリョフ街道の両側に対称に置かれた二つのガラス張りの駅舎と、一列の大理石貼りの柱に支えられた庇からなる。資源を切り詰めて建てられた1960年代の地上駅の最後の例とされ、華やかな装飾は持たない。2008年に増設された新ホームは、旧ホームとは趣を大きく異にする現代的な意匠でまとめられ、二つの時代の駅づくりが一つの駅に同居している。
意義・現在
クンツェフスカヤ駅は、スターリン時代の華麗な地下駅とは対照的に、機能と経済性を最優先した1960年代モスクワ地下鉄の姿を伝える駅である。同時に、地上を走る稀少な路線の終端として、また二つの線をまたぐ乗換拠点として、モスクワ西部の交通を支え続けている。一駅のうちに1965年と2008年という二つの時代の設計が併存する点も、本駅ならではの見どころといえる。