クズネツキー・モスト駅 Kuznetsky Most
モスクワ地下鉄タガンスコ=クラスノプレスネンスカヤ線の駅。1975年開業。1950年代以来初の深層柱式駅として設計され、橋を思わせるアーチ状の柱列と装飾的な金工で街路名「鍛冶橋」を表現している。
§1 — 概要概要
モスクワ中心部のメシチャンスキー地区に位置する、モスクワ地下鉄タガンスコ=クラスノプレスネンスカヤ線の深層駅である。1975年に開業し、1950年代以降では最初の深層柱式駅として計画された点に特色がある。
歴史
当駅は、ジダーノフスカヤ線とクラスノプレスネンスカヤ線を結ぶ連絡区間の一部として、1975年12月17日に開業した。設計はニーナ・アリョーシナとエヌ・サモイロワが担当し、装飾美術はエム・アレクセーエフが手がけた。駅名は、地上の歴史的な街路「クズネツキー・モスト(鍛冶橋)」にちなむ。これは、かつてネグリンナヤ川に架かっていた橋と、近隣にあった鍛冶職人の集落に由来する古い地名である。
建築的特徴
深い地中に三廊式のヴォールトを架け、パイロン式ではなく二列の柱でこれを支える柱式の構成をとる。柱はガズガン産の大理石で覆われ、柱間をアーチで結ぶことで、高架橋を思わせる連続したリズムを生む。床は磨かれた黒い花崗岩、壁は白い大理石で仕上げられ、随所に駅名の主題である鍛冶を想起させる装飾的な金工が施されている。地上の出入口はロジェストヴェンカ通りの中庭に控えめに設けられ、華やかな内部とは対照をなす。規格化が徹底された時代にあって、なお装飾を地下空間に取り戻そうとする意志がうかがえる。
意義・現在
当駅は、規格化が進んだ1970年代のモスクワ地下鉄にあって、深層駅にあらためて柱式と装飾性を持ち込んだ作例として位置づけられる。ソコーリニチェスカヤ線のルビャンカ駅との乗換駅でもあり、中心市街の主要な結節点として日常的に利用されている。