スイス・チューリヒの多目的スタジアム。1925年開設の競技場を建て替え2007年に再生した。林立する細い支柱が薄い屋根を支える、軽やかな現代建築である。
§1 — 概要概要
レッツィグルント競技場(Letzigrund)は、スイス・チューリヒ市の西部に建つ多目的スタジアムである。サッカークラブのFCチューリヒとグラスホッパー・クラブ・チューリヒの本拠地であり、陸上競技の国際大会「ヴェルトクラッセ・チューリヒ」の舞台としても名高い。林立する細い支柱が薄い屋根を支える、軽やかな現代建築として知られる。
歴史
最初のレッツィグルントは1925年、FCチューリヒの会員たちの手で築かれた。1928年以来、毎年の陸上競技大会の会場となり、1960年にはアルミン・ハリーがこのトラックで人類として初めて100メートルを10秒0で走破した。老朽化と国際大会の要請を受けて旧スタジアムは取り壊され、ベトリックス&コンソラシオらの設計による新スタジアムが2006年から建設され、2007年に開場した。新スタジアムは翌2008年の欧州選手権(UEFA EURO 2008)に間に合うよう整えられ、同大会ではグループリーグ3試合の舞台となった。
建築的特徴
新しいスタジアムは、観客席を覆う大きな庇を最大の特徴とする。外周に不規則な間隔で林立する高さの異なる細い鋼管の柱が、薄く張り出した屋根を支え、まるで疎林の木立のような軽快なリズムを生む。重々しい外壁をもたず、開放的な縁辺部が周囲の住宅地と競技場とを緩やかにつなぐ。およそ2万6千人を収容し、サッカーと陸上の双方に対応する楕円形のフィールドを備える。
意義・現在
レッツィグルントは、一世紀におよぶチューリヒの市民スポーツの記憶を引き継ぎながら、現代的な構造表現によって再生された競技場である。陸上のヴェルトクラッセ・チューリヒは世界最高峰のダイヤモンドリーグを構成する大会の一つで、数々の名勝負の舞台となってきた。大規模な野外コンサートの会場としても、市の都市生活に深く根を下ろしている。歴史ある名と新しい器を併せもつ点に、この施設の独自性がある。