名築が収録する公開済みの建物1,244件のうち、86件には構造家や技師が設計者とならんで結ばれている。結ばれた件数が最も多いのは英国のアラップの11件で、ドイツ…
ロンドンのシティに建つ、保険組織ロイズ・オブ・ロンドンの本部。リチャード・ロジャースの設計で1986年に完成した。昇降機・階段・配管といった設備を建物の外側に配し、内部を広く取った「ハイテック建築」の代表作である。
§1 — 概要ロンドンのシティに建つ、保険組織ロイズ・オブ・ロンドンの本部である。建築家リチャード・ロジャースの設計により、1986年に完成した。昇降機や階段、配管といった設備を建物の外側に配し、内部の空間を広く保った、いわゆる「ハイテック建築」の代表作として知られる。その内と外を逆転させた姿から、「インサイド・アウト・ビル」とも呼ばれる。
ロイズは18世紀以来、この界隈に本部を構えてきた。20世紀後半、業務の拡大にともない新たな本部が必要となり、1978年に国際的な設計競技が催された。ロジャースの案が、ノーマン・フォスターやI・M・ペイらを抑えて選ばれた。
旧本部の取り壊しをへて1981年に着工し、1986年、エリザベス2世によって開館式が営まれた。完成当初は、その斬新な外観に賛否が分かれたが、やがて20世紀建築の傑作と評されるようになる。2011年には、完成からわずか25年で、イギリスの最高位であるグレードIの指定を受けた。これは当時、最も若い指定建造物であった。
建物は、三つの主塔と三つの設備塔が中央の空間を囲む構成をとる。中心には吹き抜けの大広間「ザ・ルーム」があり、保険取引が行われてきた。広間はガラスの円筒形の屋根におおわれ、自然光に満たされる。設備を外に出したことで、内部は柱の少ない自由な空間となった。構造設計は、ポンピドゥー・センターでもロジャースと組んだ構造家ピーター・ライスが担った。ステンレスの被覆と、英国初のガラス張りのエレベーターが、機械を思わせる独特の外観を生んでいる。
ロイズ・ビルディングは、ポンピドゥー・センターに続くロジャースの代表作であり、ハイテック建築を象徴する一棟である。300年を超える歴史をもつ保険市場の伝統と、最先端の技術とを一つの建物に結びつけた点に、その意義がある。今もロイズの本部として、ロンドンの金融街にそびえ立っている。
名築が収録する公開済みの建物1,244件のうち、86件には構造家や技師が設計者とならんで結ばれている。結ばれた件数が最も多いのは英国のアラップの11件で、ドイツ…