ムンバイ中心部、ローワー・パレル地区に建つ高さ280メートルの超高層住宅。ペイ・コブ・フリード&パートナーズの設計で、四つ葉状の平面をもつ2020年完成のインド有数の高層建築である。
§1 — 概要概要
ワールドワン(World One)は、インド西部の都市ムンバイ、旧紡績工場の集積したローワー・パレル地区に建つ高さ280.2メートル・76階の超高層住宅である。デベロッパーのロダ・グループが手がけた複合開発「ワールド・タワーズ」を構成する三棟(ワールドワン/ワールド・ビュー/ワールド・クレスト)のうち最も高く、2020年の完成時点でインド最高層の住宅塔となった。設計は、香港の中国銀行タワーなどで知られる米国の設計事務所ペイ・コブ・フリード&パートナーズが担う。
歴史
建設の構想は、操業を停止したシュリニヴァス紡績工場の跡地(約7.1ヘクタール)にさかのぼる。2009年にマスタープランがまとめられ、2011年に着工した。当初計画では高さ442メートル・117階という、完成すれば世界有数の規模の住宅塔が掲げられた。しかしインド空港公団から航空安全上の理由でその高さの認可が下りず、計画は数年にわたり停滞する。設計は現行の280メートル規模へ見直され、最終的に2020年に竣工した。総工費は3億2千万ドルを超えたとされる。
建築的特徴
平面は四つ葉(クローバーリーフ)状で、各住戸が建物の隅に配されるよう構成される。これにより全戸が二面以上の眺望と、テラスを巡らせた角部屋を得る。狭い敷地に超高層住宅を成立させるための解であり、形そのものが自然換気と日射遮蔽を担う。外装は高性能の低放射ガラス(Low-Eガラス)によるカーテンウォールで、強風と地震に抗する構造計画は、旧世界貿易センターなどの構造を手がけたレスリー・E・ロバートソン・アソシエイツが担当した。内装はアルマーニ・カーザが手がけている。
意義・現在
ワールドワンは、2000年代以降に加速したムンバイの高層化を象徴する建築の一つである。当初の野心的な高さこそ実現しなかったが、四つ葉平面と段状のシルエットは、過密都市における超高層住宅の一つの型を示した。CTBUH(高層ビル・都市居住協議会)から200〜299メートル部門の優秀賞を受けている。現在もインド有数の高さを保ち、ムンバイのスカイラインを特徴づける存在となっている。