EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
ルサイル・アイコニック・スタジアム
© Adnen1985 / CC BY-SA 4.0
FIG. 01 — Q1186333

ルサイル・アイコニック・スタジアム Lusail Stadium

ملعب لوسيل

カタール・ルサイルに立つ、2022年サッカーワールドカップの決勝会場となった同国最大の競技場。ノーマン・フォスター率いるフォスター・アンド・パートナーズが設計し、アラブの器物を思わせる黄金色の外観をもつ。

FIG. 02 — Location25.4209° N 51.4904° E
カタール アッ=ザアーイン(アル・ダアヤン) ルサイル
§1 — 概要

概要

ルサイル・スタジアム(ルサイル・アイコニック・スタジアム)は、カタールの首都ドーハの北約20キロメートルに位置する新都市ルサイルに立つ競技場である。2022年に中東で初めて開催されたサッカーワールドカップのために建設された八つの会場のうち最大のもので、アルゼンチンとフランスが対戦した決勝戦の舞台となった。設計はノーマン・フォスター率いるイギリスの建築事務所フォスター・アンド・パートナーズが手がけ、スポーツ施設を専門とするポピュラス、エンジニアリングのアラップらが協働した。

歴史

建設は2017年に始まり、2021年にかけて進められた。2022年9月にルサイル・スーパーカップの試合で開場し、同年11月から12月にかけてのワールドカップでは、開幕にかかわる試合から決勝までを担った。大会後は座席数を縮小し、学校や商業施設、診療所などを内部に取り込んだ地域の拠点へと転用する計画が進められている。一大会のための施設にとどめず、都市の核として使い続ける構想が当初から組み込まれていた。

建築的特徴

スタジアムの最大の特徴は、アラブ世界で古くから用いられてきた器物の文様や、光を透かすランタンに着想を得た、黄金色に輝く外皮である。外周には三角形の開口が連続し、これが構造を担うダイアグリッドを視覚的に強調すると同時に、強い日射をやわらげて内部の通路に木漏れ日のような光を落とす。砂を思わせる落ち着いた色調の観客席と、器(うつわ)にたとえられる外形が一体となり、単純でありながら印象的なかたちをつくる。高性能の外皮と屋根、屋外の冷却技術によって、暑い気候のなかでも観戦の快適さを保つよう設計されている。

意義・現在

ルサイル・スタジアムは、ワールドカップ決勝の舞台として、また新都市ルサイルの象徴として、カタールの現代建築を代表する存在となった。地域の伝統的な造形を手がかりに、最新の構造・環境技術と結びつけた点に、フォスター・アンド・パートナーズらしい設計の姿勢が表れている。大会後の地域施設への転用は、巨大なスポーツ建築をいかに持続的に使い続けるかという、現代に共通する課題への一つの応答でもある。

関連する建築

Related
データ: Wikidata (Q1186333) / 画像: © Adnen1985 / CC BY-SA 4.0 — Wikimedia Commons
※ カタールにはパノラマの自由が認められていないため、現存する本建築の写真の利用には制約が生じうる。
LAST EDIT — 2026.06.26
ENTRY ID — BLD-0419