モスクワ地下鉄カリーニンスカヤ線の駅。1979年開業、ニーナ・アリョーシナらの設計。マルクス主義を主題に赤い大理石でまとめ、弁証法的唯物論の「螺旋的発展」を表す螺旋形の照明で知られる。
§1 — 概要概要
マルクシスツカヤ駅(Марксистская)は、モスクワ地下鉄カリーニンスカヤ線の駅で、1979年12月30日に開業した。駅名は近隣のマルクシスツカヤ(マルクス主義)通りに由来し、「マルクス主義の理想」を装飾の主題とする。設計は建築家ニーナ・アリョーシナを中心に、ヴォロヴィチ、サモイロワらが手がけた。
歴史
本駅は、カリーニンスカヤ線の最初の開業区間とともに供用を開始した。アリョーシナは規格化された深層の柱式三廊構造を下敷きにしつつ(構造設計はバルスキーら技師が担当)、駅全体を赤一色の主題でまとめた。タガンカ地区に位置し、環状線および別線の二つのタガンスカヤ駅と接続する、利用者の多い乗換拠点を形成している。駅名と装飾は、当時の国家の指導理念であったマルクス主義を主題に掲げたものである。
建築的特徴
深層に設けられた柱式三廊構造の駅で、柱には赤いブロフシナ大理石、壁面には桃色のガズガン大理石が用いられ、駅名どおり赤を基調とする。最大の見どころは、螺旋を描く照明器具である。これは弁証法的唯物論における「螺旋的発展」の概念を象徴したもので、マルクス主義の主題を具象ではなく抽象的な造形へと翻案している。設計者アリョーシナは、この螺旋形にふさわしいガラスを長く探し、戦車用の光学ガラスを薄く加工して用いたと伝えられる。装飾と思想を結びつけようとする、後期ソ連の駅づくりの一面をよく表している。
意義・現在
マルクシスツカヤ駅は、駅名と立地に結びついた主題を、具象的な記念碑ではなく抽象的な造形と色彩によって表現した点に特色がある。スターリン時代の物語的・装飾的な駅とも、1960年代の簡素な駅とも異なる、後期ソ連の様式の一例といえる。現在も三つの駅が集まる繁忙な乗換拠点の一翼を担い、螺旋の照明はこの駅を訪れる人の目を引き続けている。