モスクワ地下鉄セルプホフスコ・チミリャーゼフスカヤ線の駅。1988年開業。化学者メンデレーエフにちなみ、分子構造を思わせる照明と原子模様の装飾で知られる。地上には犬の記念碑「共感」が立つ。
§1 — 概要概要
メンデレーエフスカヤ駅(Менделеевская)は、モスクワ地下鉄セルプホフスコ・チミリャーゼフスカヤ線(9号線)の駅である。モスクワ中心部のトベルスコイ地区に位置し、環状線のノヴォスロボツカヤ駅との乗換駅を兼ねる。深さ約48.5メートルの深層駅で、駅名は周期表を確立した化学者ドミトリー・メンデレーエフに由来する。
歴史
1988年12月31日、セルプホフスコ・チミリャーゼフスカヤ線の延伸にあわせて開業した。設計はニーナ・アリョーシナとナターリヤ・サモイロワが共同で担当し、構造はセルゲイ・トゥリンスキーが手がけた。駅名にちなみ、メンデレーエフの科学的業績を空間の主題に据えている。
建築的特徴
中央ホールは、白大理石で覆われた柱をアーチでつなぐアーケード状の構成をとり、軌道側の壁面には赤みを帯びた灰色の大理石が張られる。最大の見どころは照明で、大小の球体を分子の結晶格子を思わせる金属の枠に固定し、化学結合のモデルそのものを天井から吊るしたかのような独特の意匠となっている。壁面には原子や分子構造を様式化した装飾がはめ込まれ、ホールの端にはメンデレーエフの肖像と周期表が掲げられている。床は灰色の花崗岩で仕上げられている。
意義・現在
1980年代末、ソ連の地下鉄建築が装飾性を残しつつ簡素化へ向かう時期の作例であり、科学者を主題とした明快な構成が評価されている。地上の出入口付近には、ブロンズ製の犬の像「共感(Сочувствие)」が立つ。これは長くこの駅に住み着いた野良犬マルチクが2001年に殺された事件をきっかけに、市民の募金によって2007年に建てられたもので、ホームレス動物への人道的な扱いを訴える記念碑として、モスクワでも異色の名所となっている。