MHPアレーナ MHPArena
ドイツ・シュトゥットガルトに立つ、サッカークラブVfBシュトゥットガルトの本拠地。1933年にパウル・ボーナッツらの設計で開場し、幾度もの改称と改修を重ねて、現在は膜構造の屋根を備えた競技場となっている。
§1 — 概要概要
MHPアレーナは、ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州の州都シュトゥットガルトに立つ競技場である。同市のサッカークラブVfBシュトゥットガルトの本拠地で、ネッカー川にほど近いバート・カンシュタット地区にある。1933年に開場し、以来およそ一世紀にわたって都市の運動施設として使われてきた。当初の設計は、シュトゥットガルト中央駅で知られる建築家パウル・ボーナッツとフリードリヒ・オイゲン・ショーラーによる。
歴史
競技場は1929年から1933年にかけて建設された。完成直後にはナチス政権下で独裁者アドルフ・ヒトラーの名を冠したが、第二次世界大戦後その名は速やかに改められ、1949年以降はネッカー川にちなむネッカーシュタディオン(ネッカー競技場)として長く親しまれた。近隣の自動車産業との結びつきから、1993年にゴットリープ・ダイムラー・シュタディオン、2008年にメルセデス・ベンツ・アレーナ、2023年には命名権によりMHPアレーナへと名を変えてきた。1974年と2006年のワールドカップ、2024年の欧州選手権など数々の国際大会の舞台となり、2009年から2011年にかけては陸上トラックを撤去してサッカー専用の競技場へと改修された。
建築的特徴
現在の姿を特徴づけるのは、スタジアム全体を取り巻く鋼鉄のフレームから吊り下げられた膜構造の屋根である。ポリ塩化ビニルで被覆したポリエステルの膜を精密に裁断してつなぎ合わせたもので、軽量でありながら観客席を広く覆う。この膜屋根は1993年の改修時に加えられ、軽やかに波打つ輪郭が遠くからでもそれと分かる外観を与えている。重厚な石積みの競技場として生まれた建築が、軽い膜の屋根をまとうことで現代的な姿へと更新された点に、その長い歴史が表れている。
意義・現在
MHPアレーナは、戦間期の記念碑的な競技場から、改修を重ねて現代の多目的スタジアムへと姿を変えてきた、ドイツのスポーツ建築の歩みを体現する存在である。幾度もの改称は、競技場が都市や産業、社会の変化と分かちがたく結びついてきたことを物語る。多くのファンが今もネッカーシュタディオンの呼び名で親しむように、その記憶は新しい名のもとでも受け継がれている。