テヘランにそびえる高さ435メートルの多目的通信塔。1997年ごろに着工し、2007年に構造体が完成、翌2008年に開業した。八角形の軸とポッド状の頭部をもつ、現代イランを象徴するランドマークである。
§1 — 概要概要
イランの首都テヘランに建つ多目的の通信塔である。ペルシア語の名はボルジェ・ミーラード(برج میلاد、「誕生の塔」の意)。基部からアンテナ先端までの高さは435メートルに達し、イラン最高の塔であるとともに、通信塔としては世界第6位の高さを誇る。塔頂部にはポッド(頭部構造)と呼ばれる大きな多層構造がのり、その内部に展望デッキや回転レストラン、各種施設を収める。テヘランの国際貿易・会議センター計画の中核として建設され、いまでは市の代表的なランドマークとなっている。
歴史
テヘランに通信塔を建てる構想は、1970年代に頓挫した大規模都市計画「シャヘスターン・パハラヴィー」にさかのぼるが、実現したのは革命後である。21の候補地の比較を経て1993年末に北西部のギーシャ(ナスル)地区が選ばれ、設計はイランの建築家モハンマド・レザー・ハーフェズィーが統括した。建設は1997年に始まったとされる(資料により1996〜2000年と幅がある)。当初の8年でおよそ4割しか進まなかった工事は、テヘラン市長モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフのもとで加速し、残る6割が約30か月で仕上げられた。構造体は2007年に完成し、翌2008年10月、「天は近い」のスローガンを掲げて正式に開業した。総工期はおよそ11年に及んだ。
建築的特徴
塔は、基礎・ロビー部・シャフト(軸)・頭部・アンテナマストの五つの主要部から成る。コンクリート造の軸は八角形の断面をもち、これはペルシア伝統建築のモチーフを踏まえたものとされる。頭部のポッドは高さ315メートルの位置に屋根をいただく12層の構造で、その種の頭部としては世界でも有数の規模をもつ。先端にはおよそ120メートルの鋼製アンテナマストが立つ。建設にあたっては施工速度を上げるためスリップフォーム工法が採られ、強風や地震、落雷への耐性も考慮された。展望に加え、放送・通信設備、ホテルや会議施設、商業区画などを一体に収める複合建築である。
意義・現在
ミーラード・タワーは、近代的なエンジニアリングとイランの造形的伝統を結びつけた、現代イランの技術的到達を示す建造物である。テヘランの広い範囲から望めるその姿は都市の目印として親しまれ、観光と通信の拠点として機能し続けている。
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