EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
ミレニアム・ブリッジ
© Adrian Pingstone (Arpingstone) / Public domain
FIG. 01 — Q44057

ミレニアム・ブリッジ Millennium Bridge

ロンドンのテムズ川に架かる歩行者専用の鋼鉄製吊り橋。2000年に開通したが、歩行者の歩調と橋の振動が共振して大きく横揺れし、二日で閉鎖された。制振工事を経て2002年に再開通した。

FIG. 02 — Location51.5102° N 0.0984° W
イギリス グレーター・ロンドン ロンドン
§1 — 概要

概要

ミレニアム・ブリッジ(正式名称ロンドン・ミレニアム歩道橋)は、ロンドンのテムズ川に架かる歩行者専用の鋼鉄製吊り橋である。南岸のテート・モダンやグローブ座と、北岸のシティ・オブ・ロンドン側に建つセント・ポール大聖堂とを結ぶ。テムズ川を渡る歩行者専用橋としてはロンドン中心部で一世紀ぶりの新設であり、新千年紀を記念する事業として、構造設計をアラップ、意匠をフォスター・アンド・パートナーズ、彫刻家アンソニー・カロが協働して生み出した。

歴史

1996年のコンペでこの三者の案が選ばれ、工事は1998年から進められた。2000年6月10日に開通したが、多数の歩行者が渡り始めると橋は予想を超える横揺れを起こし、わずか二日で閉鎖される。原因は、群衆が無意識に歩調をそろえることで生じる周期的な荷重が橋の固有振動と共振する現象(同期側方励振)であった。多数の制振装置(ダンパー)を取り付ける改修を経て、2002年2月にようやく再開通した。

建築的特徴

主塔を高く立てる通常の吊り橋と異なり、ケーブルを桁の側方低くに通す浅い懸架形式を採り、視界を遮らない極端に平たい姿が与えられた。これは橋上からセント・ポール大聖堂を真正面に望ませるための意図的な造形であり、夜には水面を一筋に切る「光の刃」とも評された。皮肉にも、この革新的な軽さと細さが横揺れ問題を招いた一因でもあった。

意義・現在

再開通後は安定した歩行を取り戻し、対岸のテート・モダン開館と並んでバンクサイド一帯の再生を象徴する存在となった。一方で開通直後の振動問題は、群衆荷重と橋梁の動的挙動をめぐる教科書的な事例として広く研究され、世界の構造工学に大きな教訓を残した。

関連する建築

Related
データ: Wikidata (Q44057) / 画像: © Adrian Pingstone (Arpingstone) / Public domain — Wikimedia Commons
LAST EDIT — 2026.06.28
ENTRY ID — BLD-0676