カーディフに建つウェールズの国立競技場。1999年のラグビーW杯に合わせて開場し、英国初の全面可動屋根を備える。2016年にプリンシパリティ・スタジアムへ改称。
§1 — 概要概要
ミレニアム・スタジアム(Millennium Stadium)は、ウェールズの首都カーディフ市街に建つ、同国の国立競技場である。1999年のラグビーワールドカップ開催に合わせて建設され、ラグビー・ユニオンとサッカーのウェールズ代表が本拠とする。開閉式の屋根を備え、収容人数は約7万4千人。命名権契約により、2016年からはプリンシパリティ・スタジアム(Principality Stadium)と呼ばれている。
歴史
旧国立競技場(カーディフ・アームズ・パーク)は収容力が手狭となり、1999年のワールドカップ主催が決まったことで、同じ敷地に新たな競技場を建てる計画が動き出した。市街中心の限られた敷地に約7万5千席と可動屋根を収めることが求められ、工事は1997年から1999年にかけて行われた。1999年6月26日、ウェールズが南アフリカを破った試合で本格的に始動した。建設費の一部はミレニアム委員会の宝くじ基金が支えており、これが「ミレニアム」の名の由来となった。2016年、プリンシパリティ建築組合との命名権契約により現在の名称へ改められた。
建築的特徴
最大の特徴は、英国で初めて実現した全面可動式の屋根である。観客の歓声を場内に閉じ込めて反響させ、独特の高揚した雰囲気を生む。屋根は構造設計を担当したWSアトキンス社が手がけ、四本の支柱と多数の鋼製トラスで構成される。狭い敷地に大収容力を確保するため、観客席は上方へ向かって外側へ迫り出すように傾けられ、谷あいのような急傾斜のスタンドがピッチを取り囲む。これにより、どの席からも視界が良く、観客が競技に近接する構成となっている。設計は、ロブ・スポーツ・アーキテクチャを母体とし、後にポピュラスとなった設計チームが担った。
意義・現在
ミレニアム・スタジアムは、20世紀末の英国における大型競技場建築の到達点のひとつであり、その可動屋根はヨーロッパの後続施設に技術的な影響を与えた。ラグビーやサッカーの国際試合のほか、コンサートやボクシング、モータースポーツなど多目的に用いられ、ウェンブリー改修期にはFAカップ決勝の舞台ともなった。2017年にはUEFAチャンピオンズリーグ決勝が開催されるなど、欧州有数の競技場として国際的な大会を引き受け続けている。