クロアチアの首都ザグレブにある記念碑的な墓地。建築家ヘルマン・ボレによるネオ・ルネサンス様式の長大なアーケードで知られ、宗派を問わず埋葬を受け入れる。ヨーロッパ有数の美しい墓地公園に数えられる。
§1 — 概要概要
ミロゴイ墓地(Mirogoj)は、クロアチアの首都ザグレブの北、丘の斜面に広がる墓地公園である。ドイツに生まれクロアチアを代表する建築家となったヘルマン・ボレが設計した、ネオ・ルネサンス様式の長大なアーケードで知られる。カトリック・正教・ユダヤ教・イスラームなど、宗派や信仰の有無を問わず埋葬を受け入れる市営の墓地であり、ヨーロッパで最も美しい墓地のひとつに数えられる。
歴史
用地はもと言語学者リュデヴィト・ガイの所有地で、その死後の1872年に市が買い上げ、1876年に墓地として開設された。墓地を荘厳する建築の中心となるアーケードや礼拝堂の建設は1879年に始まったが、資金難のためきわめて緩慢に進み、完成をみたのは1929年であった。設計者ボレは工事の途上、1926年に世を去り、みずからが手がけた墓地に葬られている。
建築的特徴
西の外壁に沿って延びるアーケードは、全長およそ五百メートルにおよび、多数のクーポラを戴く。中央の正面入口には礼拝堂が組み込まれ、参道の起点をなす。左右対称の明快な構成、均斉の取れた比例、光と影の秩序ある配分は、ネオ・ルネサンス様式の特質をよく示している。アーケードの内部は墓標で埋め尽くされ、床下には遺骸が納められる。イヴァン・メシュトロヴィッチをはじめとするクロアチアの彫刻家たちの手になる墓碑が並び、屋根つきの回廊はさながら彫刻の展示空間の趣を呈する。
意義・現在
ミロゴイは、クロアチアの歴史を彩る多くの著名人が眠る国民的な記憶の場であると同時に、19世紀ヨーロッパの歴史主義建築を代表する墓地建築でもある。クロアチアの文化財に指定され、都市の重要な景観をなしている。宗派を超えて死者を受け入れるその成り立ちは、多民族・多宗教のクロアチア社会を映すものでもある。2020年の地震では象徴的なアーケードが損傷を受け、修復が進められている。