スロベニア国立・大学図書館 National and University Library of Slovenia
スロベニア・リュブリャナにある国立図書館。建築家ヨジェ・プレチニックが設計し、1936年から1941年にかけて建設された彼の代表作で、2021年に世界遺産に登録された。
§1 — 概要概要
スロベニア国立・大学図書館(Narodna in univerzitetna knjižnica、略称NUK)は、スロベニアの首都リュブリャナの中心部に建つ、同国を代表する図書館である。建物は、20世紀スロベニアを代表する建築家ヨジェ・プレチニックの設計によるもので、その最高傑作の一つに数えられる。2021年には「リュブリャナのヨジェ・プレチニックの作品群」の構成資産として世界遺産に登録された。
歴史
図書館の起源は、1774年のイエズス会解散後に諸蔵書を集めて成立したリツェウム図書館にさかのぼる。第一次世界大戦後の1919年にリュブリャナ大学が創設されると、図書館はその蔵書需要にも応えることとなった。手狭となった蔵書を収める新館の計画は、1930年から1931年にかけてプレチニックが作成したが、ベオグラードのユーゴスラビア当局の抵抗に遭う。学生たちの粘り強い抗議運動を経て、建物は1936年に着工し、1941年に完成した。
建築的特徴
プレチニックは、古典建築の語彙を独自に再解釈した、いずれの近代様式にも還元できない作風で知られる。図書館の外壁は、赤煉瓦と粗削りの石ブロックを組み合わせた荒々しい肌をもち、量塊的な存在感を与える。最大の見せ場は、暗い石づくりの大階段である。黒っぽい円柱が立ち並ぶ薄暗い階段を上りきると、明るい大閲覧室へと出る——この「闇から光へ」の劇的な移行は、無知から知への歩みを象徴するものと解釈されてきた。扉の把手に至るまで、細部の意匠はプレチニック自身の手による。
意義・現在
スロベニア国立・大学図書館は、プレチニックがリュブリャナの街並みに刻んだ一連の都市デザインの中核をなす建築である。法定納本制度に基づき同国の出版物を網羅的に収集する国立図書館として機能し続ける一方、その建築自体が国内外から訪れる人々を惹きつけている。蔵書の増加による収蔵スペースの不足が課題となっており、新たな施設の建設も検討されている。