イラン国立図書館・公文書館 National Library and Archives of Iran
テヘランのアッバスアバード地区に建つ中東最大級の図書館。1996年に着工し2004年に開館した、ユーセフ・シャリアトザーデらの設計による現代イランを代表する公共建築である。
§1 — 概要概要
イラン国立図書館・公文書館(National Library and Archives of Iran)は、首都テヘランのアッバスアバード文化地区に建つイラン最大の図書館である。蔵書は一千五百万点を超え、中東最大の規模をもつ。イスラーム議会の認可を受けた教育・研究機関であり、館長はイラン大統領が任命する。図書館と国立公文書館という二つの機能を併せもち、全国に十二の分館をもつのが特徴である。
歴史
イランの国立図書館は1937年に開館した蔵書機関を起源とし、国立公文書館とは別個に発展した。2002年に両者が統合してイラン国立図書館・公文書館となったが、運営は二棟の建物に分かれて続いている。現在の主館は、住宅都市開発省が主催した設計競技を経て建てられた。ピルラーズ設計事務所のユーセフ・シャリアトザーデ、モフセン・ミルヘイダル、ヤドッラー・ラザーギーによる案が採用され、1997年には環境工学建築フォーラムの設計賞を受けた。建設はアッバスアバード地区で1996年から進められ、2004年に開館した。
建築的特徴
主館は地上八階建てで、延床面積は約一万一千七百平方メートルに及ぶ。マグニチュード九級の地震に耐える鉄筋コンクリート構造で、分散していた図書館の諸部門を一か所に集約することを主眼に設計された。全体の構成は有機的なまとまりを志向し、開架・閲覧・保存の各機能を立体的に組み合わせている。閲覧空間には自然光を取り込み、利用者の動線を一棟内で完結させる計画とした。古典様式の引用を避けた、明快で機能本位の現代イラン建築である。
意義・現在
蔵書規模・利用ともにイランを代表する知の拠点であり、博物館や図書庭園などが集まるアッバスアバードの文化地区を構成する中核施設の一つとして位置づけられる。古典回帰や折衷をともなわない大規模公共建築として、二十世紀末から二十一世紀初頭のイランにおける建築の到達点を示す事例である。
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Related※ イランはパノラマの自由を欠くため現代建築写真の扱いに留意。本画像はWikimedia CommonsのCC BY-SA 3.0で公開されている。