ナショナル・ポートレート・ギャラリー National Portrait Gallery
ロンドン、トラファルガー広場に近接する肖像専門の国立美術館。1856年に肖像画に特化した世界最初の公立美術館として創設され、現在の建物は1896年にセント・マーティンズ・プレイスへ移って開館した。
§1 — 概要概要
ナショナル・ポートレート・ギャラリー(National Portrait Gallery)は、ロンドンの肖像専門の国立美術館である。隣接するナショナル・ギャラリーと並んで建ち、英国史を彩った人物の肖像を、描き手ではなく描かれた人物の重要性に基づいて収集する点に特色がある。肖像画に特化した公立美術館としては世界で最初の例とされる。
歴史
美術館は1846年にスタンホープ伯の提案を端緒とし、1856年に創設された。以後約40年は各地を転々としたが、慈善家ウィリアム・ヘンリー・アレグザンダーの寄付によって恒久的な館の建設が実現する。アレグザンダーが選んだ建築家ユアン・クリスチャンの設計のもと、ナショナル・ギャラリーに隣接するセント・マーティンズ・プレイスに新館が築かれ、1896年に開館した。1933年にはリチャード・アリソンによる増築が、1990年代末にはオンダーチェ翼が加えられ、2023年には三年がかりの大規模改修を終えて再開している。
建築的特徴
外観はイタリア・ルネサンスに範をとるネオルネサンス様式で、白いポートランド・ストーンで仕上げられる。正面入口の上部には、創設に尽力した人物たちの胸像が掲げられ、館の設立の経緯を建築自体が語る構成となっている。落ち着いた古典的な意匠は、隣接するナショナル・ギャラリーと調和し、トラファルガー広場の界隈に静かに収まっている。
意義・現在
収蔵品の筆頭には、シェイクスピアの肖像として最も知られるチャンドス・ポートレートがあり、これは当館が最初に受け入れた一点でもある。絵画にとどまらず写真・素描・彫刻・カリカチュアまでを含む肖像の集積を通して、英国の歴史を人物の貌から一望できる場として親しまれてきた。建物はグレードI指定建造物に登録され、入場は無料である。