シュトゥットガルトのポルシェ本社に隣接する自動車博物館。2009年開館のデルガン・マイスル設計の新館で、三本のV字柱に支えられて宙に浮く一枚岩のような展示棟で知られる。
§1 — 概要概要
ポルシェ博物館(Porsche-Museum)は、ドイツ・シュトゥットガルトのツッフェンハウゼン地区、ポルシェ本社に隣接して建つ自動車博物館である。2009年に開館した現在の建物は、ウィーンの設計事務所デルガン・マイスル・アソシエイテッド・アーキテクツ(DMAA)の設計によるもので、三本のV字形の柱に支えられて宙に浮かぶ一枚岩(モノリス)のような展示棟が、ブランドの躍動感を建築へと翻案している。
歴史
最初のポルシェ博物館は1976年、工場近くの脇道に設けられた小規模な企業博物館で、常時20点ほどの車両を入れ替えて展示するものであった。収蔵車両の増加と来館者の需要に応えるため、2003年から新館の構想が始まり、170を超える応募のなかから2005年にデルガン・マイスルの案が選ばれた。同年10月に着工し、2008年末に建物が引き渡されて、2009年1月31日に正式開館した。総工費はおよそ1億ユーロに達した。展示空間の設計は、メルセデス・ベンツ博物館も手がけたHGメルツが担当している。
建築的特徴
建物の主役は、長さ約160メートルに及ぶ展示棟である。これをわずか三本のV字柱が受け、地上から切り離されたように浮かせることで、足元には最大10メートルの高さの開放的な空間が生まれる。鋭角を多用した結晶のような外形は、回転する車輪や疾走する車を思わせ、単一の量塊(モノリス)としてまとめ上げられた彫塑的な造形をとる。来館者は沈み込んだエントランスのプラトーから、折り畳まれた地形のような床面を通って、白を基調とした展示空間へと導かれる。カンチレバーを大胆に用いた構造そのものが、この建築の表現の核心をなしている。
意義・現在
ポルシェ博物館は、自動車ブランドの理念を建築の言語へと移し替えた現代の企業博物館の代表例である。隣接するメルセデス・ベンツ博物館とともに、シュトゥットガルトを自動車文化の都市として印象づける存在となっており、開館以降も多くの来館者を集めている。歴史的車両の多くがいまも自走可能な状態で保たれ、入れ替えながら展示される「動く博物館」の思想は、最初の1976年の館から受け継がれている。