フランス北部、リール近郊の多目的スタジアム。開閉式屋根と可動床を備え、5万人収容の球技場から屋内アリーナへ姿を変える。2012年開場、サッカーのリールOSCが本拠とする。
§1 — 概要概要
スタッド・ピエール=モーロワ(Stade Pierre-Mauroy)は、フランス北部オー=ド=フランス地域圏、リール都市圏のヴィルヌーヴ=ダスクに建つ多目的スタジアムである。約5万人を収容してフランスで4番目の規模を誇り、サッカーのリールOSCが本拠とする。開閉式屋根に加え、観客席とピッチの一部を可動させて屋内アリーナへ転換できる点に最大の特色がある。
歴史
リールOSCは長らくUEFAの基準を満たす競技場を欠き、欧州大会で他所を間借りする状況が続いていた。リール都市圏共同体が新スタジアム計画を主導し、2009年に着工、2012年8月に開場した。当初はグラン・スタッド・リール・メトロポールと称したが、2013年、元リール市長で元首相のピエール・モーロワの死を機に現在の名へ改められた。設計はボルドーのピエール・フェレと、パリのヴァロード&ピストルが共同で担った。
建築的特徴
矩形の本体を覆う開閉式屋根により、天候に左右されず通年の興行が可能となる。さらに「ボワット・ア・スペクタクル(見世物の箱)」と呼ばれる機構が核心で、ピッチの北半分が水平に移動し、その下から油圧で持ち上がることで、約3万人規模の屋内アリーナが姿を現す。サッカー場とコンサート・室内競技場を一棟で兼ねるこの可変性が、現代の多目的スタジアムの一つの到達点を示している。
意義・現在
完成後、当スタジアムはUEFA欧州選手権2016やラグビーワールドカップ2023の会場となり、デビスカップ、バスケットボールのユーロバスケット、2024年パリ五輪の競技にも用いられた。可動床と開閉屋根を組み合わせた「変身する競技場」は、単機能の施設に代わる多目的建築の現代的なモデルとして広く参照されている。
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