イングランドの古都バースに建つ、三日月形に湾曲した30戸の連棟住宅。ジョン・ウッド(子)の設計により1767年から74年に建てられ、ジョージアン建築の頂点をなす集合住宅として知られる。
§1 — 概要概要
ロイヤル・クレセント(Royal Crescent)は、イングランド西部の古都バースに建つ、ゆるやかな三日月形に湾曲した30戸の連棟住宅である。建築家ジョン・ウッド(子)の設計により1767年から1774年にかけて建設され、英国におけるジョージアン建築の最高傑作のひとつに数えられる。第一級指定建築物に登録されている。
歴史
バースは18世紀、温泉保養地として隆盛をきわめ、古典的な都市美をそなえた一連の住宅街区が整えられていった。父ジョン・ウッド(父)がサーカスやクイーン・スクエアを手がけたのに続き、その子であるジョン・ウッド(子)がこのクレセントを設計した。連棟形式の住宅を弧状に配したものとしては最初の試みであり、完成から250年あまりを経た現在も、内部には改変を重ねながら、ジョージアン特有の石造ファサードは創建当初の姿をよく保っている。
建築的特徴
全長およそ150メートルに及ぶファサードには、114本のイオニア式の付け柱が並び、その上にパッラーディオ式のエンタブラチュアが水平に走る。一様な意匠で多数の住戸を束ね、全体をひとつの宮殿のような構成に見せる手法が特徴である。前面には広い芝生と公園が開け、「都市のなかの田園(rus in urbe)」という理念を体現する。
意義・現在
ロイヤル・クレセントは、個々の住宅を統一的な古典様式で束ねて壮大な都市景観をつくる「都市的クレセント」の典型として、後の英国の都市計画に大きな影響を与えた。現在も10戸が一棟まるごとの住宅として使われ、18戸は集合住宅に、1番地は当時の暮らしを伝える博物館、中央の15・16番地はホテルとなっている。バース市街の世界遺産を代表する景観のひとつである。