スペイン・ビルバオに建つアスレティック・ビルバオの本拠地。2010年着工、2013年開場の現代的なサッカー専用競技場で、ETFE膜が覆う湾曲した外皮が夜間に発光する。
§1 — 概要概要
スペイン北部、バスク地方の都市ビルバオに建つサッカー専用競技場である。地元クラブ、アスレティック・ビルバオの本拠地として、1913年以来「ラ・カテドラル(大聖堂)」と称された旧サン・マメスの隣接地に建設された。収容人員は約5万3千人で、バスク地方では最大規模を誇る。設計は、ビルバオに本拠を置く総合エンジニアリング企業 IDOM と、同社の建築家セサル・アスカラテが担当した。
歴史
旧スタジアムの老朽化を背景に、計画は2004年頃から始まり、2006年に建設許可を得た。2010年5月26日、旧サン・マメスに隣接する見本市跡地で起工式が行われた。建設は段階的に進められ、まず新スタジアムの4分の3を先行して建て、そこで試合を行いながら旧スタジアムを解体し、空いた敷地に残る部分を完成させる手順がとられた。2013年9月16日に開場し、旧施設の解体を経て、全観客席が揃った最終的な竣工は2014年であった。総工費は約2億1千万ユーロで、その過半をバスク州政府やビルバオ市など公的機関が負担した。
建築的特徴
平面は四隅を丸めた連続的な外周をもつ。最大の特徴は建物を一周する半透明の外皮で、ETFEの膜を菱形のパネルとして外装に用いる。昼は柔らかな光を通し、夜は内側から照明を当てることで建物全体が発光し、クラブカラーで彩られる。観客席は急勾配で組まれ、ピッチとの距離を詰めて密度の高い観戦環境をつくる。屋根はすべての観客席を覆い、外皮とともに一体的な量塊を形づくる。
意義・現在
旧サン・マメスが百年にわたり積み重ねた「大聖堂」の記憶を継ぎつつ、発光する膜という現代的な語彙で都市の新たなランドマークとなった。2010年代のスタジアム建築における、外皮による表現とコンパクトな観戦空間の両立を示す事例である。現在もアスレティック・ビルバオの本拠地として使用され、ビルバオの河岸再開発と連動した都市の顔の一つとなっている。