上海・浦東の陸家嘴金融地区にそびえる高さ632mの超高層ビル。設計はゲンスラー。九つの円筒を積み上げ、外皮を120度ねじり上げた独特の形態で風荷重を抑え、二重のガラス外皮による省エネ性能でも知られる。2015年竣工、中国一の高さを誇る。
§1 — 概要概要
上海中心(上海中心大厦/Shanghai Tower)は、上海・浦東新区の陸家嘴金融地区にそびえる高さ632mの超高層ビルである。設計はアメリカの設計事務所ゲンスラー。九つの円筒形の層を積み上げ、外皮全体を底部から頂部へ約120度ねじり上げた独特の形態をもつ。竣工は2015年で、中国で最も高い建築物であり、完成から2021年まで世界第2位の高さを誇った。
歴史
陸家嘴では1993年の計画段階から、三棟の超高層を寄り添わせて建てる構想があった。先に金茂大厦(1999年)と上海環球金融中心(2008年)が完成し、その最後を飾るのが上海中心である。国際指名コンペではゲンスラーとスキッドモア・オーイングス・アンド・メリル(SOM)が最終候補に残り、ねじれ上がる案を示したゲンスラーが選ばれた。2008年11月29日に起工し、2013年8月に最高部まで達した(トップアウト)。外装は2015年夏に完成して段階的に開業し、118・119階の展望台が一般公開されたのは2017年である。設計はゲンスラーの夏軍(ジュン・シア)らが主導し、構造設計はソーントン・トマセッティが担当した。
建築的特徴
塔は九つの区画(ゾーン)に分かれ、それぞれがオフィス・商業・ホテル・文化施設などの用途と、緑を配した吹き抜けの空中ロビーをもつ。最大の特色は、外形を120度ねじることで風荷重をおよそ24%低減した点にあり、これによって構造材を大きく節約している。内側の円筒状の躯体と外側のカーテンウォールは、スーパーコラムとアウトリガーによって結ばれる。外周は二層のガラスで覆うダブルスキン・ファサードとし、二層のあいだに空気の緩衝層を設けて、採光を確保しつつ冷暖房の負荷を抑える。多数の省エネ技術を組み込み、最高位のLEEDプラチナ認証を取得した、持続可能性を強く意識した超高層である。
意義・現在
上海中心は、金茂大厦・上海環球金融中心とともに「上海の過去・現在・未来」を象徴する三棟の最後の一棟として位置づけられる。世界有数の速さのエレベーターや、562mという建物内では世界最高所級の展望台でも知られる。ねじれ上がる軽やかな外形と、二重外皮による環境性能を両立させた点で、21世紀の超高層建築が量だけでなく質と持続可能性を競う段階に入ったことを示す代表例といえる。