EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
スタッド・ヴェロドローム
© Bernard Ddd / CC BY-SA 2.0
FIG. 01 — Q202150

スタッド・ヴェロドローム Stade Vélodrome

Stade Vélodrome

マルセイユに立つ、オランピック・ド・マルセイユの本拠。1937年に自転車競走場を備える競技場として開場し、2014年改修で全観客席を覆う波打つ白い屋根を得て、フランス最大級のクラブ競技場となった。

FIG. 02 — Location43.2692° N 5.3949° E
フランス ブーシュ=デュ=ローヌ県 マルセイユ
§1 — 概要

概要

スタッド・ヴェロドローム(Stade Vélodrome、命名権により現在はオランジュ・ヴェロドローム)は、フランス南部マルセイユに立つ多目的競技場である。リーグ・アンの名門オランピック・ド・マルセイユ(OM)の本拠として知られ、収容約6万7千人はフランスのクラブ用競技場として最大、国内全体でもスタッド・ド・フランスに次ぐ規模を誇る。その名は、開場当初に自転車競走用のトラック(ヴェロドローム)を備えていたことに由来する。

歴史

1935年、アンリ・プロカンの設計で、旧自動車工場の跡地に建設が始まった。当初は陸上トラックなどを含む総合施設が構想されたが、予算の制約から競技場のみが実現し、26か月の工期を経て1937年6月13日に開場した。以後OMの本拠として親しまれ、1938年と1998年のワールドカップ、複数の欧州選手権の会場ともなった。自転車トラックは利用の減少とともに段階的に撤去され、観客席に置き換えられていく。1998年大会に向けてはジャン=ピエール・ブフィの設計で大規模改修が行われ収容を増やしたが、屋根がなくミストラル(地方の強風)にさらされる点はなお課題として残った。

建築的特徴

現在の象徴的な姿は、2014年の改修でSCAU(協働建築家ディディエ・ロジョン)が加えた、全観客席を覆う白く波打つ屋根による。テフロン加工を施したガラス繊維の膜を金属の骨組みに張り、海から打ち寄せる貝殻にもたとえられる大きなうねりをつくり出す。膜は半透明で、夜間は内側から照らされて街の灯台のように輝く。屋根の中央は開いており、ピッチには自然光と外気が届く。長く「屋根のない競技場」と評されてきた弱点を、地域の風土に応える造形として克服した改修である。

意義・現在

ヴェロドロームは、1937年の鉄筋コンクリートの楕円形ボウルから、世紀をまたぐ数次の改修を経て現在の姿に至った、競技場の更新の歴史を体現する建築である。2024年パリ五輪のサッカー会場となるなど国際的な大舞台を担い続け、熱狂的なサポーター文化とともにマルセイユの象徴であり続けている。

関連する建築

Related
同じ国
構造表現主義 エッフェル塔
1889 · パリ
エッフェル塔
Stéphen Sauvestre

エッフェル塔(tour Eiffel)は、パリ七区のシャン・ド・マルスに立つ高さ約330メ…

データ: Wikidata (Q202150) / 画像: © Bernard Ddd / CC BY-SA 2.0 — Wikimedia Commons
※ フランスではパノラマの自由が限定的にしか認められないため、2014年改修の屋根(SCAU設計)など現代部分を含む写真の商用利用には制約が生じうる。
LAST EDIT — 2026.06.25
ENTRY ID — BLD-0405