EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
タトイ宮殿
© アスピオティス(1915年頃の絵葉書) / パブリックドメイン
FIG. 01 — Q257617

タトイ宮殿 Tatoi Palace

Ανάκτορο Τατοΐου

アテネ近郊、パルニサ山麓に広がる旧ギリシャ王家の夏の離宮。1872年にゲオルギオス1世が取得した所領に、建築家サヴァス・ブーキスの設計で1884年に着工、1886年に完成した。英国風の田園邸宅を範とする。

FIG. 02 — Location38.1627° N 23.7917° E
ギリシャ アッティカ
§1 — 概要

概要

タトイ宮殿(Tatoi Palace/ギリシア語:Ανάκτορο Τατοΐου)は、アテネ中心部の北、パルニサ山の南東斜面に広がる、旧ギリシャ王家の夏の離宮である。一帯は古代にデケレイアと呼ばれた地で、約42平方キロメートルに及ぶ広大な森林の所領のなかに宮殿が建つ。

歴史

1872年、ギリシャ王ゲオルギオス1世は、建築家エルンスト・ツィラーの勧めもあって、デンマークから持参した私財でこの所領を購入した。当初は1874年に最初の客舎が建てられたが、王家の人員増にともない新たな離宮が必要となり、建築家サヴァス・ブーキス(Savvas Boukis)が設計者に選ばれた。ブーキスは1880年にロシアへ派遣され、ペテルゴフのいわゆる「農場宮殿」を範として英国風の田園邸宅をまとめた。新宮殿は1884年に着工し、1886年に完成した。1916年には放火により大きな被害を受け、多くの犠牲者を出している。

建築的特徴

宮殿は、華美な宮廷建築というよりも、英国の田園邸宅に範をとった、簡素で実用的な二階建ての邸宅である。深い森と緩斜面という自然環境に溶け込むよう構えられ、王家の私的な避暑の場としての性格を色濃くもつ。所領のなかには厩舎や付属建築、さらに王族の墓所も含まれ、宮殿単体ではなく、一つの自立した所領全体として営まれた点に特徴がある。

意義・現在

タトイは、近代ギリシャ王政の私的な生活の舞台として、王家の歴史と分かちがたく結びついた場所である。1973年前後に放置され、1994年から2003年にかけて国有化されたのち、長く荒廃にさらされてきた。近年はギリシャ政府と「タトイの友の会」によって、博物館・公共施設として再生する修復事業が進められている。

関連する建築

Related
同じ時代
構造表現主義 エッフェル塔
1889 · パリ
エッフェル塔
Stéphen Sauvestre

エッフェル塔(tour Eiffel)は、パリ七区のシャン・ド・マルスに立つ高さ約330メ…

同じ時代
新古典主義建築 自由の女神像
1886 · ニューヨーク
自由の女神像
Eugène Viollet-le-Duc

ニューヨーク港リバティ島に立つ新古典主義の巨像。フランスからアメリカへ贈られ…

同じ国
ドーリア式 パルテノン神殿
前438 · アテネ
パルテノン神殿
Callicrates

アテネのアクロポリスにそびえる、女神アテナに捧げられた古代ギリシアの神殿。ペ…

データ: Wikidata (Q257617) / 画像: © アスピオティス(1915年頃の絵葉書) / パブリックドメイン — Wikimedia Commons
LAST EDIT — 2026.06.27
ENTRY ID — BLD-1090