スペイン、バルセロナを見下ろすコルセローラの丘に建つ通信塔。ノーマン・フォスターの設計で、1992年のバルセロナ・オリンピックに合わせて完成した。高さ288メートル、市内で最も高い。直径わずか4.5メートルの細いコンクリートの軸を、ケーブルで支える革新的な構造をもつ。
§1 — 概要概要
スペイン、バルセロナの背後に広がるコルセローラの丘陵に建つ、通信のための塔である。建築家ノーマン・フォスターの設計により、1992年に完成した。高さは288メートルにおよび、バルセロナでもっとも高い構築物である。山上の丘から、ほっそりとした白い軸が天へ伸びる、ハイテック建築の代表作の一つである。
歴史
1992年のバルセロナ・オリンピックを控え、市内では放送用の電波塔が乱立しようとしていた。その景観への影響を懸念した市は、地域の通信を一本の塔に集約することを決め、テレビ局や電話会社をまとめて、共同の通信塔を建てる構想を立てた。
1988年の設計競技で、フォスターの案が選ばれた。技術者集団アラップとの協働により、橋や造船の技術にも学んだ独創的な構造が練り上げられた。1990年に着工し、軸・マスト・機器の階を並行して組み上げる突貫工事をへて、1992年春、オリンピックに間に合うかたちで完成した。以来、カタルーニャの放送のほとんどを担う、地域の通信の要となっている。
建築的特徴
塔の心臓部は、直径わずか4.5メートルの、中空のコンクリートの軸である。同じ高さを普通の塔で実現するには、基部に25メートルもの太さが必要となるが、フォスターはこれを、丘に張ったケーブルで支えることで解いた。軸の上部には、十三層からなるポッド(機器のかご)が、三本の鋼のトラスで吊り下げられる。控えのケーブルには、電波を妨げないケブラー繊維が用いられた。十階には展望台が設けられ、市内随一の眺めが開ける。
意義・現在
コルセローラ・タワーは、通信塔という用途を構造の原理から問い直した、フォスターの代表作である。重く太い従来の塔とは異なり、最小限の素材で天へ伸びるその姿は、自然の丘にそっと立つことをめざした。1992年のオリンピックを象徴する一本として、今もバルセロナのスカイラインの頂点に立っている。
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