マドリードのクアトロ・トーレス・ビジネス地区に建つ、スペイン最高(249メートル)の超高層ビル。建築家シーザー・ペリが設計し2008年に完成したガラス張りの塔で、頂部にヨーロッパ最大級の縦庭園を戴く。
§1 — 概要概要
トーレ・デ・クリスタル(スペイン語で「ガラスの塔」)は、マドリード北部のクアトロ・トーレス・ビジネス地区(CTBA)に建つ超高層ビルである。高さ249メートル、地上52階を数え、スペインで最も高い建築物である。アルゼンチン出身の建築家シーザー・ペリ(ペトロナス・ツインタワーで知られる)が設計し、2004年に着工、2008年に竣工した。
歴史
建設地は、かつてレアル・マドリードの練習場(シウダー・デポルティーバ)があった敷地である。クラブが2001年に施設を移したのち、跡地にはカステリャーナ大通り沿いの新たなビジネス地区として、4棟の超高層が計画された。トーレ・デ・クリスタルはそのうちの一棟で、2007年4月に隣のトレ・エスパシオを抜いてスペイン一の高さに達し、2008年12月に構造体が完成した。設計はペリの事務所が主導し、マドリードのオルティス・レオン建築事務所が協働、施工はドラガドスが担った。保険会社ムトゥア・マドリレーニャが所有し、2016年からは会計事務所KPMGのスペイン本社が入る。
建築的特徴
名のとおり、塔は全面をガラスのカーテンウォールで覆われる。頂部では各階の平面がわずかにずれ、四つの立面に折れが生じることで、カットされた水晶のような稜線が生まれる。二重のガラス皮膜(ダブルスキン)による生気候的な壁面は、内部の換気と日射制御を自動的に調整し、空調と消費エネルギーを最適化する環境性能を備える。そして塔の頂には、フランスの植物学者パトリック・ブランによる高さ約30メートルの縦庭園(垂直庭園)が設けられ、ヨーロッパ最大級の規模を誇る。
意義・現在
トーレ・デ・クリスタルは、21世紀初頭のスペインの経済的な活況のなかで生まれた、マドリードの新しい都市の象徴である。古都の歴史的なスカイラインに対し、プラド=カステリャーナの都市軸の北端を画す現代の垂直のランドマークとして位置づけられた。ガラスの透明性と環境技術、そして頂部の庭園は、持続可能な高層建築の先駆的な試みとして評価されている。