ロンドン北部トッテナムに立つ、プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーの本拠地。2019年開場、収容約62,850人。世界初の引き出し式人工芝ピッチを備え、NFLの試合も開催される。
§1 — 概要概要
トッテナム・ホットスパー・スタジアムは、ロンドン北部トッテナムに立つ多目的スタジアムである。プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーが所有・運営し、収容人数は約62,850人と、イングランドで3番目、ロンドンのクラブとしては最大の規模をもつ。サッカーに加えてNFLの欧州開催試合の会場ともなり、コンサートなど多様な催しに用いられる。
歴史
旧本拠地ホワイト・ハート・レーンに代わる新スタジアムは、トッテナム地区の再生を目指すノーサンバーランド開発計画の中核として構想された。2008年に発表されたが計画はたびたび見直され、紛争や遅延を経て建設が本格化したのは2015年以降であった。旧スタジアムの解体を伴いながらほぼ同じ敷地に建てられ、2019年4月3日、最初のプレミアリーグ公式戦に先立つ式典をもって開場した。命名権の売却を前提とした暫定名称のまま、現在も用いられている。
建築的特徴
設計は、世界各地の競技場を手がけたポピュラスによる。観客席をピッチへ可能な限り近づける設計思想のもと、ゴール裏には一枚の巨大な単層スタンドが据えられ、独特の一体感を生む。最大の技術的特徴は、サッカー用の天然芝ピッチが三分割されて格納庫へ引き出され、その下からNFL用の人工芝が現れる、世界初の引き出し式ピッチである。これにより一つの施設で性格の異なる二つの競技を、それぞれ最適な状態で開催できる。
意義・現在
本スタジアムは、放映権収入が増大した現代サッカーにおいて、競技場が試合日以外にも収益を生む複合的な装置へと変わったことを象徴する。ピッチ転換機構やホスピタリティ空間、醸造設備までを内包する設計は、21世紀のスタジアム建築が到達した一つの形である。地域再生計画の起点としての役割も担い、トッテナムの新しい目印となっている。