イングランド、バーミンガムのアストンに建つアストン・ヴィラFCの本拠地スタジアム。1897年開場。名スタジアム建築家アーチボルド・リーチが手がけたトリニティ・ロード・スタンドで知られた。
§1 — 概要概要
ヴィラ・パーク(Villa Park)は、イングランド中部バーミンガムのアストン地区に建つサッカー・スタジアムで、1897年以来アストン・ヴィラFCの本拠地である。FAカップ準決勝の開催数は英国の競技場で最多を数え、1966年ワールドカップや数多くの国際試合の舞台ともなってきた。なかでも、スタジアム建築家アーチボルド・リーチが手がけたかつてのトリニティ・ロード・スタンドは、英国フットボール建築の傑作として記憶されている。
歴史
アストン・ヴィラは1874年に創設され、当初はペリー・バーで試合を行っていたが、1897年、アストン・ホールの旧地に広がる遊園地「アストン・ロウワー・グラウンズ」に移転した。同年4月17日、ブラックバーン・ローヴァーズとの親善試合で開場している。クラブの発展に伴って段階的な拡張が進み、1922年から24年にかけて、理事フレデリック・リンダーの主導でリーチ設計のトリニティ・ロード・スタンドが建てられた。1924年にはのちの国王ジョージ6世(当時ヨーク公)が開場式を行っている。その後もホルテ・エンドの拡張やナイター設備の導入を重ね、1990年代には全席着席化に合わせて大改修された。
建築的特徴
リーチは、鉄骨トラスの架構で大きな観客席を覆う合理的な手法を各地のスタジアムで用い、英国のフットボール場の原型を築いた建築家である。ヴィラ・パークのトリニティ・ロード・スタンドは、その実用性に華やぎを加えた異色作で、ステンドグラス、イタリア風モザイク、アストン・ホールに倣ったオランダ風の破風(ゲーブル)、緩やかに弧を描く大階段を備えていた。批評家サイモン・イングリスはこれを「フットボールのセント・パンクラス駅」と評している。一方、ゴール裏のホルテ・エンドは英国最大級の一枚屋根の観客席として、煉瓦の外壁がアストン・ホールの面影を伝える。
意義・現在
ヴィラ・パークは、19世紀末から続く英国のサッカー文化を建築として受け継いできた場所である。リーチのトリニティ・ロード・スタンドは2000年に解体され、より大きな三層構造に建て替えられた。歴史的名作の喪失を惜しむ声は多く、英国フットボール建築の保存をめぐる象徴的な出来事ともなった。現在の収容人数は約4万2千で、北スタンドの拡張による5万人規模への増床が計画されている。クラブの熱狂的なファンが集うホルテ・エンドは、今もこの競技場の心臓部であり続けている。