モスクワ地下鉄ザモスクヴォレツカヤ線の駅。1964年開業の標準設計による柱式ホームをもち、淡青色の大理石と白タイルで簡素にまとめられている。
§1 — 概要概要
モスクワ北部、地下鉄ザモスクヴォレツカヤ線の駅である。1964年に開業し、ヒムキ貯水池のほとりにあったディナモの水上競技場(ヴォドニー・スタジオン=水上スタジアム)にちなんで名づけられた。スターリン様式の華美な装飾が公的に退けられた時期に建設され、規格化された設計をもつ。
歴史
本駅が属するザモスクヴォレツカヤ線は1938年に開業した古い路線で、その北への延伸として1964年に本駅が設けられた。1950年代後半以降、ソ連では建築上の過剰な装飾が批判され、地下鉄駅も簡素で経済的な標準設計へと転換していた。本駅はその方針のもとで量産された柱式・三スパンの標準設計の典型例であり、ニコライ・デムチンスキー、ユリヤ・コレスニコワ、ミハイル・マルコフスキーらが設計を担った。出入口はクロンシュタット大通りとゴロヴィンスコエ街道の交差点付近に二つ設けられている。
建築的特徴
ホームは中央の二列の柱が天井を支える三廊式で、柱は青みを帯びた大理石で覆われる。壁面は白いタイルで仕上げられ、腰部には二条の青い帯が走る。装飾を抑えた即物的な意匠は、フルシチョフ期のモスクワ地下鉄に共通する性格を示し、それ以前の壮麗な駅とは対照的である。等間隔に並ぶ柱列がホームに穏やかなリズムを与え、同じ設計が路線網のあちこちに反復された。色彩を絞った簡潔な構成は、かえって落ち着いた印象を与えている。
意義・現在
華麗な「地下宮殿」として知られるスターリン期の駅々に対し、本駅は実用本位へと舵を切った1960年代のモスクワ地下鉄を代表する。こうした標準設計の駅が網の目状に量産されたことで、地下鉄は壮麗な見せ場から日常の都市インフラへと性格を変えていった。1964年の延伸は、北部へ広がる新興住宅地と都心とを結ぶ役割を担い、本駅はその転換を静かに物語る存在である。