フィンランド・ヘルシンキ東部のヴオサーリ地区に立つ、ヘルシンキ地下鉄M1線の地上終着駅。建築家エサ・ピイロネンの設計により1998年に開業し、ガラスと白い鉄骨が織りなす明るく開放的なホームで知られる。
§1 — 概要概要
ヴオサーリ駅(Vuosaaren metroasema)は、フィンランド・ヘルシンキ東部のヴオサーリ地区に位置する、ヘルシンキ地下鉄の地上駅である。M1線の東の終着駅であり、新しい地区中心部に置かれて、商業施設コロンブスや高層住宅シーラスといった都市核に隣接する。ガラスと白い鋼の構成による開放的なホームが、この駅の表情を決めている。
歴史
駅は1998年8月31日、ラスティラ駅・プオティラ駅とともに開業した。三駅はイタケスクスから分岐するM1線の延伸区間を構成し、ヘルシンキ東部の住宅地を地下鉄網へと結びつけた。ヴオサーリ駅は隣のラスティラ駅から東へ約1.2キロメートルの地点に置かれ、延伸区間の終端をなす。設計はフィンランドの建築家エサ・ピイロネンの事務所(Esa Piironen Oy)による。ピイロネンはヘルシンキ工科大学に学び、簡潔で軽快なディテールを身上とする近代主義の系譜に連なる建築家である。
建築的特徴
ホームを支配するのは、ガラス面と白い鉄骨フレームによる軽量な架構である。光を大きく採り入れた「温室」のような空間構成は、北欧の暗い冬に明るさをもたらす意図をもつ。一方でこの明るさは、過度の眩しさ(とくに視覚に障害のある利用者にとって)や夏季の暑さ、冬季の床面の滑りやすさといった課題も指摘されてきた。透明性と軽さを志向する点に、フィンランド近代建築のひとつの姿勢が見てとれる。なお当駅では、安全性向上を目的とするホームドアの試験運用も試みられている。
意義・現在
ヴオサーリ駅は、急速に拡大した東部ヘルシンキの住宅地と都心を結ぶ交通結節点として機能してきた。2011年には駅の終端からヴオサーリ港へ至る約1.4キロメートルの連絡線が設けられ、地下鉄の線路を国鉄網へとつなぐ役割を担った。この連絡線は、西方の地下鉄延伸事業(レンシメトロ)に関わる資材や重機の搬送にも用いられている。素材の正直な表現と光の扱いは、駅という日常的な建築にも設計者の明確な意匠が及びうることを示しており、地区の生活を支える基盤として現在も多くの利用者に使われている。