ロンドン北西部に1923年に開場した、双塔を象徴とするサッカーの聖地。大英帝国博覧会の中核施設として鉄筋コンクリートで築かれ、FAカップ決勝や1966年ワールドカップ決勝の舞台となったが、2003年に解体され新スタジアムに建て替えられた。
§1 — 概要概要
ウェンブリー・スタジアムは、ロンドン北西部のウェンブリーにあったサッカー競技場である。当初は「エンパイア・スタジアム」と呼ばれ、白い双塔(ツインタワー)を擁する外観で知られた。FAカップ決勝の恒例の舞台となり、世界で最も著名な競技場のひとつに数えられたが、2002年から2003年にかけて解体され、跡地に新たなウェンブリー・スタジアムが建設された。
歴史
スタジアムは1924–25年の大英帝国博覧会の中核施設として計画され、1922年から23年にかけて約300日という短期間で建設された。設計はジョン・ウィリアム・シンプソンとマクスウェル・エアトン、鉄筋コンクリート構造を担当した主任技師はオーウェン・ウィリアムズである。1923年4月28日、最初のFAカップ決勝とともに開場した。この初戦には予想を超える大観衆が詰めかけ、白馬に乗った警官が群衆を整理した逸話から「白馬の決勝」として語り継がれる。博覧会後は取り壊しが予定されていたが存続し、以後イングランドのサッカーの中心地となった。
建築的特徴
最大の特徴は、正面に並ぶ二基のドームを戴く塔(ツインタワー)であった。当時としては大規模な鉄筋コンクリート造で、すり鉢状の観客席が楕円形のフィールドを囲み、開場当初は立見を含めて十数万人を収容した。双塔は単なる装飾ではなく、帝国の威信を体現するモニュメントとして構想され、長くスタジアムの顔となった。
意義・現在
ウェンブリーは1948年のロンドン五輪、1966年サッカー・ワールドカップ決勝、1985年のライヴ・エイドなど、スポーツと音楽の歴史的場面の舞台となった。サッカーの聖地として世界中に知られ、数多の名選手がこの地を踏んだ。老朽化と機能の限界から建て替えが決まり2003年に姿を消したが、後継の新スタジアムが大アーチを新たな象徴とする一方で、ツインタワーの記憶は今日まで受け継がれている。