サンクトペテルブルクにある屋内競技・コンサート施設。十月革命50周年への贈り物として1967年に完成した。ソ連で初めてケーブル吊り構造の屋根を採用した先駆的建築で、その設計は1971年にソ連国家賞を受けた。
§1 — 概要概要
ロシア・サンクトペテルブルクにある屋内アリーナ兼コンサート施設である。アイスホッケーやバスケットボールのために7000を超える座席をそなえ、競技会のほか各種大会・祭典・音楽公演の会場として用いられる。ロシア語名「ユビレイヌイ(Юбилейный、=記念祭の意)」は、十月革命50周年を記念して建てられたことに由来する。
歴史
建設地は、二十世紀初めに埋め立てられた水路の跡で、かつては市の苗圃が置かれていた。施設はG・P・モロゾフをはじめとする建築家チームと技師団によって設計され、革命50周年にあたる1967年に労働組合連合から市への贈り物として完成した。工期短縮のため、敷地の周囲に三線の鉄道を敷いて八台のクレーンを同時に稼働させるなど、大がかりな突貫工事が行われた。革新的な設計に対し、設計チームは1971年にソ連国家賞を授与されている。
建築的特徴
本施設の最大の特色は、ソ連で初めて実現したケーブル吊り構造の屋根である。直径約93メートルの円形空間を、柱を一切用いずに覆う。内側と外側に置かれた二つの鋼鉄のリングのあいだに鋼索を放射状に張り、それらが交差して放物面を描く「自転車の車輪」になぞらえられる構造で、屋根の自重を引張力として処理する。これにより、観客席から競技面を遮るもののない大空間が生まれた。簡潔な円筒形のヴォリュームは、機能と構造をそのまま外形に表す、ソ連モダニズムの志向をよく示している。
意義・現在
ユビレイヌイ・スポーツ宮殿は、構造技術の面でソ連建築史に画期をなす建物であり、その吊り屋根は科学技術の領域でも高く評価された。完成以来、レニングラード/サンクトペテルブルクのスポーツと文化の拠点として親しまれ、アイスホッケーをはじめとする数々の大会や、大規模なコンサートの舞台となってきた。今日もなお現役の多目的アリーナとして使われ続けている。