ギリシア建築
イオニア式オーダー(Ionic order)は、古代ギリシアの建築オーダー(円柱と梁の様式体系)の一つで、ドーリア式と並ぶ代表的な様式である。柱頭の左右に渦巻き(ヴォルート)を巻くのが最大の特徴で、優美で繊細な印象を与える。
前6世紀ごろ、エーゲ海東部のイオニア地方(小アジア西岸とその島々)で生まれ、ギリシア世界の各地へ広まった。重厚なドーリア式に対し、より装飾的で軽やかな様式として好まれた。
柱は礎盤(ベース)の上に立ち、ドーリア式より細く背が高い。柱身には多数の縦溝(フルーティング)が刻まれる。柱頭の渦巻きと、しばしば歯飾り(デンティル)を伴うエンタブラチュアが、全体に流麗な性格を与える。
アテナイのエレクテイオンやアテナ・ニケ神殿、エフェソスのアルテミス神殿などが名高い。本データベースでは、36本のイオニア式列柱が神殿のような外観を生んだマウソロス霊廟が代表例である。
ドーリア式に続いて確立し、のちにより装飾的なコリント式が加わって古典オーダーの三様式がそろう。ローマ建築にも受け継がれ、ルネサンス以降の古典主義建築でも繰り返し用いられた。