メキシコ中央高原、メキシコシティ北東に広がる古代都市の遺跡。紀元前後に計画都…
メソアメリカ建築(Mesoamerican architecture)は、コロンブス以前のメキシコから中央アメリカにかけて、オルメカ・マヤ・テオティワカン・アステカなど数多くの文明が、二千年以上にわたって築き上げた建築の総称である。地域や時代で姿は異なるが、共通する原理がいくつもある。
中心をなすのは、神殿を頂に戴く階段ピラミッドである。エジプトのピラミッドが王の墓であったのに対し、これらは祭祀の舞台となる人工の聖山であり、急な階段が天へと続く。基壇の側面は、傾いた斜面(タルー)と垂直の壁板(タブレロ)を交互に積むタルー=タブレロの構成で、力強い陰影を刻んだ。表面はしばしば漆喰で覆われ、鮮やかな色彩で彩られた。
構造は組積を基本とし、真のアーチを知らなかった。開口を架けるには、石を少しずつせり出すコーベルアーチが用いられ、室内空間はおのずと狭く暗くなる。そのぶん力は、外へ積み上がる量塊と、神々や暦を刻んだ彫刻・壁画に注がれた。また多くの都市には、儀礼的な球技を行う細長い球技場(ボールコート)が設けられ、都市に欠かせない施設となった。
都市計画と天文は分かちがたく結びつく。建物の主軸はしばしば日の出や星の運行に合わせられ、ピラミッドそのものが暦を体現した。スペインの征服によってこの伝統は断ち切られたが、テオティワカン、ティカル、チチェン・イッツァなどの遺跡が、その壮大さを今に伝えている。