ロンドン金融街に立つ高さ180mの超高層。ノーマン・フォスター設計の流線形が「ガーキン(きゅうり)」の愛称で親しまれ、らせん状のダイアグリッド構造で知られる。
§1 — 概要概要
30セント・メリー・アクス(30 St Mary Axe)は、ロンドンの金融中心地シティ・オブ・ロンドンに立つ高さ180m・41階の超高層ビルである。砲弾を思わせる流線形から「ガーキン(きゅうり)」の愛称で親しまれ、旧称は所有者にちなむ「スイス・リ・ビル」。設計はフォスター・アンド・パートナーズ、構造設計はアラップが担い、主任設計者はケン・シャトルワースが務めた。
歴史
敷地には、1992年のIRAによる爆破で大きく損壊したバルティック海運取引所が建っていた。当初は92階建ての高層案もあったが撤回され、現在の塔の建設は2001年に始まり、2003年末に竣工、2004年4月に開業した。完成と同時にロンドンの新たなランドマークとなり、2003年のエンポリス摩天楼賞を受けている。
建築的特徴
平面は円形で、上層へ向かってわずかにふくらみ、頂部で再びすぼまる紡錘形をとる。外周はダイアグリッドと呼ぶ三角格子の鋼構造で支えられ、内部に通し柱を要さない開放的な床を生む。各階を少しずつ回転させて穿たれた六つの吹き抜けは、外気を取り込む煙突として働き、自然換気と採光を促す環境装置となっている。全面を覆うカーテンウォールは約7,400枚のガラスで構成され、頂部のドーム「レンズ」が眺望を締めくくる。砲弾形は風の乱れを抑え、足元の歩行者空間への吹き下ろしを和らげる空力上の利点ももつ。
意義・現在
30セント・メリー・アクスは、環境性能と象徴性を両立させた21世紀初頭の高層建築を代表する一棟である。完成当時、自然換気を大胆に取り入れた高層オフィスとして注目を集め、その後の環境配慮型の摩天楼に影響を与えた。フォスターらしいハイテック建築の到達点として、その流線形のシルエットは今日もロンドンの都市像を語るうえで欠かせない存在となっている。