EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
60ウォール街
© Mike Roberts / CC BY 2.0
FIG. 01 — Q247887

ニューヨーク、ウォール街に建つ55階の超高層オフィスビル。ケヴィン・ローチの設計で1989年に竣工し、古典建築の語彙を高層の尺度に翻案したポストモダンの代表作として知られる。

FIG. 02 — Location40.7063° N 74.0085° W
アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ニューヨーク
§1 — 概要

概要

60ウォール街(60 Wall Street)は、ニューヨーク市ローワー・マンハッタンの金融街に建つ、高さ227メートル・55階の超高層オフィスビルである。ケヴィン・ローチ率いる事務所ケヴィン・ローチ・ジョン・ディンケルー&アソシエイツ(KRJDA)の設計により、J.P.モルガン銀行の本社として建てられた。古典建築の構成を高層ビルの尺度に翻案した、ポストモダン建築の代表例の一つに数えられる。

歴史

敷地にはかつて石油会社シティーズ・サービスが使う七棟の建物が並んでいたが、1970年代の解体を経て更地となった。1985年にJ.P.モルガンが計画中の塔の取得と全館使用を表明し、ローチとディンケルーは1984年に設計者へ選ばれた。隣接する歴史的建造物55ウォール街から上空権を購入して高さを確保するかわりに、足元に公共のアトリウムを設けることが条件とされた。建設は1987年から1989年にかけて行われ、竣工後はモルガンが全館を占有した。2001年以降はドイツ銀行の北米本部として使われ、2022年からは内外装の大規模な改修が進められている。

建築的特徴

全体は基壇・軸部・頂部からなる三層構成をとり、巨大な古典の柱になぞらえた輪郭をもつ。高さ約21メートルの対柱が並ぶ四層分の基壇は、南に建つ55ウォール街の列柱に呼応する。上層部は石とガラスのカーテンウォールで覆われ、寄棟屋根の下の隅部は、リボン状の窓を重ねることで柱束のような表情を与えている。地上階には、ウォール街とパイン街の入口を結ぶ屋根付きの公共アトリウムが設けられ、白い大理石と八角形の柱に飾られた1980年代らしい劇的な室内空間として知られた。

意義・現在

鉄とガラスの均質な箱が支配的だった金融街にあって、古典やギリシア・リヴァイヴァルの要素を大胆に引用した本建築は、後期20世紀のポストモダン建築を象徴する一例とされる。建築批評家エイダ・ルイーズ・ハクスタブルも、その造形の巧みさを評価した。一方、見どころであった公共アトリウムは2022年からの改修で大きく姿を変えつつあり、保存をめぐる議論が続いている。

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LAST EDIT — 2026.06.27
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