ストックホルムのユールゴーデン島に建つ、スウェーデンのポップ・グループ、アバを主題とした体験型博物館。建築家ヨハン・セルシングの設計による複合建築の中に置かれ、2013年に開館した。
§1 — 概要概要
アバ・ザ・ミュージアム(スウェーデン語:Abbamuseet、正式英語名:ABBA The Museum)は、スウェーデンの首都ストックホルムのユールゴーデン島に建つ、ポップ・グループ「アバ」を主題とした体験型の博物館である。グレーナ・ルンド遊園地にほど近い複合建築の中に置かれ、衣装や楽器、ゴールドディスクなどの資料を、来館者が歌い踊って参加できるインタラクティブな展示として見せる点に特色がある。
歴史
アバ専門の博物館を作る構想は2006年、起業家のウルフ・ヴェストマンとエヴァ・ヴィーゲンハイム=ヴェストマンによって発表された。当初の計画は難航したが、ヨーロッパとオーストラリアを巡回した「アバワールド(ABBAWORLD)」展のコレクションを基礎として、常設館の計画があらためて動き出す。建物は2012年春に着工し、2013年に竣工、展示は2013年5月7日に開館した。建物の大部分はホテル(メロディ・ホテル、のちのポップ・ハウス・ホテル)が占め、2017年まではスウェーデン音楽の殿堂(スウェーディッシュ・ミュージック・ホール・オブ・フェイム)も同居していた。設計は、ストックホルムを拠点とする建築家ヨハン・セルシングの事務所(セルシング・アルキテクテル)が手がけた。
建築的特徴
建物はL字型の平面をもち、地上3階に屋階を載せる。各階を下の階より少しずつ後退させることで、段状のシルエットという特徴的な構成を生んでいる。ファサードは塗装された無垢材と集成材(リムトレー)で覆われ、長く連なるテラスとガラス面を縁取る。屋根は緩い勾配とし、セダム(多肉植物)を植えた緑化屋根として仕上げられている。すぐ北には建築家カール・ベリステンによる1916年のリリエヴァルク美術館が建ち、この由緒ある近隣の景観に配慮した端正な設計が求められた。簡素で素材感を生かしたセルシングの作風が、観光施設でありながら落ち着いた佇まいをこの建築に与えている。
意義・現在
アバ・ザ・ミュージアムは、世界的なポップ・グループの遺産を保存・公開する施設であると同時に、ストックホルムの王立国立都市公園の一角にふさわしい、控えめで質の高い現代建築として実現した点に意味がある。展示は鑑賞するだけでなく、ステージで歌い、スタジオで録音を体験できる参加型の構成をとり、開館から短期間で多くの来館者を集めた。近年はアバの新たなプロジェクト「アバ・ヴォヤージュ」に関連する展示も加わり、バンドの歴史と現在をつなぐ場として運営が続けられている。