ブラジル北東部、ペルナンブーコ州レシフェ近郊のサッカー競技場。2014年ワールドカップに向けダニエル・ホップ・フェルナンデスが設計し、ETFE膜の屋根と太陽光発電を備える持続可能性の先駆例とされる。
§1 — 概要概要
アレナ・ペルナンブーコ(Arena Pernambuco、正式名称エスタディオ・ゴヴェルナドール・カルロス・ウィルソン・カンポス)は、ブラジル北東部ペルナンブーコ州、レシフェ大都市圏のサン・ロウレンソ・ダ・マッタに建つ多目的競技場である。収容人数は約四万六千人。2014年のFIFAワールドカップ・ブラジル大会の会場の一つとして建設され、前年の2013年コンフェデレーションズカップでも使用された。
歴史
設計はブラジルの建築事務所フェルナンデス・アルキテートス・アソシアドス(主任建築家ダニエル・ホップ・フェルナンデス)が手がけた。州とコンソーシアムによる官民連携(PPP)事業として計画され、建設会社オデブレヒトが施工を担当した。工事は2010年に始まり、当初の完成目標を超える遅延を経て2013年に開場した。本競技場は、二百四十ヘクタールに及ぶ新都市開発「シダーデ・ダ・コパ(ワールドカップの都市)」の中核施設として位置づけられ、住宅・職場・学校などを長期的に整備する構想の第一歩とされた。
建築的特徴
レシフェ近郊の在来林とカピバリベ川に近い自然豊かな敷地に、周囲の環境と調和することを意図して配置された。二層式の客席を急勾配のコンパクトなスタンドにまとめ、その上を覆う屋根は、鉄骨の骨組みにETFE(フッ素樹脂)の膜を張った軽量な膜構造である。膜は約二万五千平方メートルを覆い、面に組み込まれたLEDによってファサードの色を変えることができる。躯体は鉄筋コンクリート造で、出力一メガワットの太陽光発電設備を備える点も特徴であり、ブラジルにおける持続可能なスタジアム建築の先駆例とされた。
意義・現在
アレナ・ペルナンブーコは、自然光と通風を生かした環境配慮の設計により、ワールドカップ施設のなかでも持続可能性を象徴する存在となった。一方で、大会後の活用や事業費をめぐっては議論も呼んだ。それでもサッカーの試合に加え、大規模なコンサートや宗教行事の会場として用いられ、レシフェ西郊の新たな拠点としての役割を担い続けている。